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【東京】

<ひと ゆめ みらい>パラリンピック「貢献」 バリアフリー着物を考案・鈴木富佐江さん(82)=狛江市

「さくら着物工房」を主宰する鈴木富佐江さん=調布市で

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 「高齢の方や障害のある方でも気軽に着られる着物を普及させたい」−。

 わずか二、三分で着物の帯を装着できる「さくら造り帯」を考案した鈴木富佐江さん(82)=狛江市=は、着付け指導のため調布市に開いた「さくら着物工房」を主宰し、全国を飛び回る多忙な日々を送る。

 きっかけは六十五歳の時に発症した脳梗塞だった。右半身にまひが残り、一人で帯を結べなくなった。

 「大好きな着物が着られなくなって絶望的な気持ちになりました」と当時の心境を語る。

 そこで編み出したのが、背中にくる結び目を折り畳んで糸で固定し、ベルトを巻くように締める「さくら造り帯」だった。折り紙がヒントだった。

 手軽さが評判を呼び、造り帯の縫い方や着付けを教室で教えるようになった。いまでは全国に教室が三十カ所、直接指導した生徒は千人をゆうに超える。ボタンで留めるだけの長じゅばんやファスナーで丈を調節できる着物なども考案し、「バリアフリー着物」として普及しつつある。

 「一般的に着付けには三十分程度かかりますが、初心者や車椅子の方でも、十分もあれば着崩れしない着物姿になれます」

 活躍の幅は、さらに広がろうとしている。地元の狛江市で二〇二〇年の東京パラリンピックを応援する市民協働事業「元気なパラリンピック応援団 in こまえ」が五月に発足し、代表に就任した。

 主な活動はパラリンピックに出場する選手の応援や、着物に不慣れな外国人、障害者の着付けを支援するボランティア「着付けサポーター」の養成だ。養成講座などにこれまで市内外から約百三十人が参加した。

 パラリンピックでボランティアに関わるのは、これが二回目。前回は一九六四年の東京五輪後に開かれたパラリンピックだった。「ボランティアの一員として代々木の選手村に行き、着物姿で選手団を出迎えた」と懐かしむ。

 「人生で二度もパラリンピックに貢献できるチャンスが巡ってくるとは夢にも思いませんでした。着物は日本の伝統文化の代表的な存在です。私が編み出したさくら造り帯で外国の方や障害のある方が気軽に着物を楽しんでいただけるのはこの上ない喜びです」 (花井勝規)

 1936年、現在の中国・大連市生まれ。32歳の時に夫をがんで亡くした後に金融機関に就職。定年まで勤め、息子2人を育てた。65歳で脳梗塞を患い、右半身にまひが残って好きな着物が着られなくなった経験から、簡単に着物が着られる仕組みを次々と考案し、「さくら着物工房」を設立。狛江市の「元気なパラリンピック応援団inこまえ」代表などを務める。問い合わせは鈴木さん=電090(3691)0055=へ。

 

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