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【東京】

地域の受け皿 日本語教室パンク 運営の立川国際友好協会 市の補助金足りず

ボランティアの講師と向き合って日本語を学ぶ外国人たち=立川市柴崎町の柴崎学習館で

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 外国人労働者の受け入れを拡大する入管難民法の改正案が国会で実質審議入りしたが、外国人人口の増加に地域の受け皿が追いついていない実態は、すでに深刻になっている。立川市の日本語教室を取材した。(竹谷直子)

 「ここを『ひじ』っていうの」。柴崎学習館(柴崎町)での日本語教室で、ボランティアの講師が、ジェスチャーを交えて、マンツーマンで韓国人女性ジョ・ジウンさん(35)=日野市=に教えていた。ジョさんは四月に来日したばかり。「日本語が一番困る。子どもが幼稚園の連絡のお知らせを持ち帰ってもよくわからない」という。授業が終わると「ここではみんな親切でゆっくり教えてくれる」と安心した表情を見せた。

 しかし、来日した外国人の支えとなる日本語教室の運営は今、ピンチを迎えている。想定を超えて外国人が増えているからだ。

 「土曜日は、これ以上になると断らざるを得ないかもしれない」。市の委託を受けて、柴崎など二カ所の学習館で教室を運営する立川国際友好協会(TIFA)会長の斎藤実さん(82)は頭を抱えた。

 柴崎学習館は、約五十人の受講を見込んで二教室を確保していたが、外国人技能実習生の増加などで六十人ほどが集まるようになっている。

 市の補助金は年間百七十二万円。身近な生活相談などができる交流イベントも定期的に開くが「今の予算ではボランティアの交通費で終わってしまう。完全に赤字」と斎藤さんは嘆く。

 市協働推進課の大須賀一夫課長は「市の財政も厳しく、今のところ具体的な対策はない」と、外国人人口の増加に市が対応できない現実を明かした。

 政府は同法改正案の今国会での成立と来年四月施行を目指すが、斎藤さんは「日本で安心して暮らせる環境をつくるのが先ではないか。経済界の要望で労働力を補充するという思いが先走っている」と話す。技能実習生が日本に反感を持って帰国する例も挙げ、「わがままなやり方では将来に禍根を残す」と危惧した。

 国分寺市も日本語教室の需要は増えている。技能実習生の日本語教育を依頼する企業が多いなどの理由で、運営する国分寺市国際協会は「マンツーマンの指導では、ボランティアが足りなくなってきている」と話した。

 外国人労働者の問題に詳しい法政大社会学部教授の上林千恵子さんは、今後も技能実習生の日本語教育を自治体やNPOなどに頼る企業は増えるとみている。「日本語ができないと、いくら実力があっても単純労働しか任せられず、当然不満がたまっていく。システムで入れるのならシステムで対応すべきだ。自治体やボランティア任せではなく、国のバックアップが必要」と指摘した。

◆都内の外国人人口54万人 10月現在

 都の10月1日現在のまとめによると、都内の外国人人口は54万2916人。前年同期比で3万99人増えた。増加率を計算すると5.87%。多摩地域26市の増加率は6.34%で、都全体を上回るペースで増えた。区市町村別で増加率が最も高かったのは国分寺市の15.08%。立川市は8.20%だった。

 

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