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【東京】

府中・3億円事件から50年 逃走ルートを追体験 地元タクシーのツアー人気

事件現場近くに車を止めて当時の写真を使いながら犯行の経過を解説する乗務員=府中市で

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 府中市で白バイ警官を装った男が大量の現金を輸送車ごと奪った「三億円事件」から五十年のこの冬、発生現場や犯人の逃走ルートをタクシーで巡るツアーが人気を集めた。企画したタクシー会社の乗務員の案内で、事件を「追体験」してみた。 (松村裕子、服部展和)

 「一九六八年十二月十日、事件は起こりました。今日は晴れていますが、当日は土砂降りの雨でした」

 ミステリアスな言葉とともに、国分寺駅北口からツアーは始まった。五十年前、北口にあった銀行を出発した現金輸送車と同じ経路をたどる。「ちょうど前を走っている車のように…」と、先行する犯人が輸送車に注視しながら事件現場に近づいていくのを、乗務員が解説してくれる。

 輸送車が奪われた府中刑務所北側でタクシーはいったん停止し、交通の妨げにならないように車内で話を聞いた。

 「偽白バイで前に回り込んで輸送車を止め、発炎筒をたいて『爆発するぞ』と行員四人を遠ざけた」。本紙の元記者で事件直後に現場に駆け付けた坂本丁次さん(86)に取材経験を聞いていたが、偽白バイを捜査員が囲む当時の写真を使いながらの説明を聞くと、時を超えて犯行の様子がイメージできた。

 「犯人が必死に逃げているところですね」。再び走り出したタクシーは、犯人が輸送車を運転しながら逃走したとみられるルートを追う。「幅は当時と同じ」という細い路地を何度も曲がると、「土地勘のある犯人」との推理に納得した。

 輸送車が乗り捨てられていた武蔵国分寺跡(国分寺市)に着いた。次の瞬間、木陰からモンタージュ写真で見慣れた偽警官が!

 もちろん偽警官はタクシー会社の社員。クッキー缶を白く塗装して書類箱に見せ掛け、後部に取り付けた手作りの偽白バイと現れるという凝った演出だ。

 「あっ、何かあるぞ」と続けて偽警官の指す方を見ると、現金を運ぶジュラルミンケースが落ちていて笑いが込み上げた。

 ツアーは約一時間で終了。企画した「三和交通多摩」(府中市)によると、事件の経過や裏道まで詳細に頭に入れた乗務員でなければ案内できないため、ツアーは週一回一組ずつ実施するのがやっとという。

 十日までの計五回行い、募集は既に締め切ったが、全国から三十四組の申し込みがあった。「レンタカーでもう一度たどりたい」と話す事件後に生まれた世代の乗客もいて、人気は上々。要望が多ければ、来年もツアーを行うことを検討するという。

武蔵国分寺跡では偽警官(中)が登場。服部記者(右)が恐る恐るジュラルミンケースを開けるとツアー修了証が入っていた=国分寺市で

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