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【東京】

武器をアートに モザンビーク内戦から和平へ 聖心女子大(渋谷区)で展示

武器アートを紹介する竹内よし子さん(右)と吉田憲司館長(中)、聖心女子大の岡崎淑子学長=いずれも渋谷区の聖心女子大で

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 ギターを弾く人、本を読む人、扇を広げる人。高さ数十センチのアート作品は、焦げ茶色で少しさび付いた金属の素材でできている。これらは、内戦が続いたアフリカ・モザンビーク共和国で使われていた銃などの武器だ。内戦終結後、住民が回収した武器を素材に数多くの作品がつくられ、世界各国の博物館などに渡り、平和を訴えてきた。現在、「武器アート」は、聖心女子大(渋谷区)で展示されている。 (神谷円香)

 モザンビークでの武器回収プロジェクト「銃を鍬(くわ)に」は、内戦終結の和平協定後の一九九五年、キリスト教評議会という宗教団体が住民に呼び掛けて始まった。武器は生活に必要な農機具や自転車、ミシンと交換。内戦で使われた武器は数百万ともいわれるが、これまでに回収できたのはまだ百万に満たないという。

 日本では、国立民族学博物館(大阪府吹田市)と、松山市のNPO法人「えひめグローバルネットワーク」が作品を所蔵し、各地に貸し出している。作品を五点所蔵する同博物館の吉田憲司館長によると、集めた武器は溶かして使えなくしようとしたが、十分な熱量の溶鉱炉がなく、砕いて壊した。その一部を平和のために使おうと、現地のアーティスト約十人がワークショップを開き生まれたのが武器アートだ。

 内戦による難民問題にも関わってきた吉田館長は「内戦で使われたのは、すべてアフリカでなく先進国で作られた武器。日本製はないが、悲劇をもたらした世界の状況に日本も無関係だったわけではない」。今も熱心に制作を続けるアーティスト二人の姿を吉田館長は現地で撮影し、会場で映像を流している。

 現地と二十年近く交流を続ける同NPOは、これまでに武器アート十五点を集め、全国の大学などで展示してきた。同NPOの竹内よし子代表が初めて武器アートを見たのは二〇〇二年。「重くて、油や鉄の匂いもすごくて怖かった」と振り返る。

 展示が始まった十月末、竹内さんは同大で講演し、一年生六百人に「モザンビークの住民自らが武器回収に動いたのに感銘を受け、草の根で活動してきた。武器のない社会づくりを皆さんも考えてみて」と語り掛けた。

 展示は来年三月十五日まで、会場は同大四号館・聖心グローバルプラザ。入場無料。日曜祝日と十二月二十三日〜一月六日は休館。

<モザンビーク共和国> アフリカ南部にあり、国土は日本の約2倍。1975年にポルトガルの植民地支配から独立したが勢力争いから内戦が勃発、92年に和平協定が締結した。94年の大統領・国民議会選挙で政治体制が整い、以後は経済が急成長している。

銃やピストルをつなげてできた武器アート「肘掛椅子」

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