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【東京】

<あすへ つながるTokyo> (3)地域の求人 紹介サイト

モノクロで掲示板風に情報が並ぶ求人サイト「イタ」

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 「瀬戸内の島で維新を起こせ。」「真の宿主は猫です」「アートプロジェクトの編集(雪かきも)」−。

 モノクロの手書き風の枠にそんな一言を記した「掲示板」が並ぶ求人サイトがある。さまざまな地域を紹介する雑誌として定評のある「ソトコト」編集部(中央区)が運営する「イタ」。掲示板の「板(いた)」と、仲間を発見し喜ぶ声「いた!」から名づけた。

 「ぶっきらぼうで、荒削りなサイト」とある通り、事細かな説明は書いていない。それぞれの枠をクリックすると、仕事内容や報酬がごく簡潔に箇条書きで出てくる。詳細は各自で求人主に問い合わせ応募する。募集は全国津々浦々。週一回のアルバイトから、長期にわたる業務委託まで内容もさまざまだ。

 ソトコト編集長で「イタ」プロデューサーの指出(さしで)一正さん(49)は「駅の掲示板によくあった『バンド仲間募集』みたいな、人と地域の出会いに特化したものにしようと考えた。『インスタ映え』するような写真でのPRはもうあふれているから、あえて文字だけのモノクロの『掲示板』にした」と話す。

サイトを立ち上げた雑誌「ソトコト」の指出一正編集長=中央区で

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 地域に移り住むわけではないが、緩くつながってその地域と関わり合う人々を指す「関係人口」。指出さんは講演や取材で全国各地を訪ねる中で、そんなつながりを持ちたい人が二十〜三十代で特に多いと感じていて、昨年十一月にサイトをオープンした。

 ウェブデザインは、新潟市のデザイン会社「U・STYLE」が担当する。「イタ」ウェブディレクターを務める同社の松浦柊太朗さん(26)は、「働くぞ、と構えるとハードルが上がるが、気軽にローカルを訪ねるきっかけにしてもらえたら。地域で思いを持った人が仲間を見つけるのに使ってほしい」と語る。目を引くコピーはソトコト編集部と相談し、文字サイズを変えるなど、柔らかい雰囲気づくりを工夫する。

 「ほうれん草が『しなこい、しなこい!』」。奈良県川上村の地域おこし協力隊が立ち上げたプロジェクト「やまいき市」は、毎週土曜に野菜を集荷し朝市に並べるアルバイトを募っている。「しなこい」は柔らかいを意味する方言。実行委員会の岩本寛生(ひろき)代表(32)は「移住に興味がある人もいるのではと思い、お試しで来てもらおうと出した」と期待する。

 行政からの求人もある。栃木県益子町は「歴史的なこの建物、どう生かす?」のコピーで、今夏に開業予定の宿泊施設の運営者募集を載せた。終戦時に当時皇太子だった天皇陛下が滞在していた「旧南間(なんま)ホテル」を改修し、歴史の面影を残し平和学習にも生かす施設にする計画だ。

 観光商工課の担当者は「より多くの人に見てもらい、若い人にも来てほしいと思った。サイトならすぐに広く伝わる」と話す。

 「イタは、もしかしたら新しい旅行ガイドかもしれない」と指出さん。短い誘い文句に想像力をかき立てられ、知らない地域を訪ねてみたくなる。 (神谷円香)

 

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