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【東京】

<ひと ゆめ みらい>地元の宝で まちおこし 武蔵府中熊野神社古墳保存会長・市川光(あきら)さん=府中市

古墳のPRに当たる市川さん=府中市で

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 「こんな立派な古墳だったとは」。子どものころには遊び場にしていた地元神社の小山が、全国的にも珍しい上円下方墳として復元されてびっくりした十年前を振り返った。

 国史跡の石碑が立ち、石積みの威容を見せる府中市の武蔵府中熊野神社古墳。隣接地では、二〇一一年に古墳を分かりやすく紹介する展示館が開館し、今春の完成を目指して古墳公園の整備も進む。会長を務める古墳保存会が開く秋の古墳まつりは今年で十回目を迎え、飛躍の年になりそうだ。

 全国的にも珍しい市民有志による保存会は〇六年末に発足式を開いた。三百人を超える地元住民や古墳ファンが参加。周辺の草むしりや勉強会、古墳まつりの開催、キャラクターの「くまじい」と「おくまちゃん」による出張PRなどの活動を展開している。

 発足時からの会員。会社勤めの経験から財務に詳しく、展示館の管理業務を市から受託する交渉をまとめた。得意のパソコンで、館の勤務当番表や見学者への説明マニュアルも作った。実績が評価され、一三年に二代目会長に推された。

 「大勢の人に見学してほしい。そのためには自発的に動かないと」と、市内の学校に「地元の歴史を学んで」と働きかけた。市外の小学生も訪れ、展示館の年間入館者は本年度、初めて一万二千人を突破しそうだ。

 活動は幅を広げている。「福祉にも協力したい」と、一昨年から市内の障害者施設に古墳形のクッキーや出土した金具形のかりんとうを作ってもらい、古墳まつりで販売している。「できれば今後も続けたい」

 古墳公園には、団体客に対応できる見学用デッキが設けられる。舞台も兼ねており、十回記念の古墳まつりでは、地元小学生が出演して古墳にまつわる物語を歌でつづるオペラの上演を検討する。「公園を活用して、地域のにぎわいにつながるイベントをしたい」との思いも膨らむ。

 ほかにもアイデアはある。付近には農地が残り、自身も六十アールの田畑をもつ農家で「市産農産物の販売ができないか」というのが一つ。「他地域に古墳保存会があれば交流したい。互いのイベントで古墳を紹介できれば」とも考えている。

 悩みは高齢化で会員が減少傾向にあること。地元の宝を後世に残すため「若い人が参加したいと思える雰囲気づくりをしたい」と知恵を絞る毎日だ。(松村裕子)

<武蔵府中熊野神社古墳> 上段が円形、下段2段が方形の上円下方墳。最下段は一辺32メートル、上段は直径16メートル、高さ6メートル。横穴式石室がある。築造は飛鳥時代の7世紀中ごろ。全国で4例が確認された石をふいた上円下方墳のうち、最大で最古。刀の鞘(さや)に装着する七曜文の鞘尻金具が出土した。府中市西府町の熊野神社境内にあり、2003、04年に発掘調査が行われ、05年に国史跡に指定。埋葬されたのは武蔵国の有力者とみられる。

 

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