東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 東京 > 記事一覧 > 4月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【東京】

認知症でも気軽に外出を 行政と民間が協力、町田で取り組み

竹を切る参加者=町田市で

写真

 認知症の人にやさしいまちづくりを目指す町田市で、行政と民間が協力し、症状があるお年寄りが元気で楽しく過ごせる生活環境を整える取り組みを進めている。屋外での作業や外食などに出かける機会を増やし、引きこもりになるのを防ぐとともに、進行を遅らせるのが目標。支援者らは手応えを感じている。(松村裕子)

 同市下小山田町の竹林では毎週木曜の午前、認知症の高齢者やボランティア、新規就農者ら十数人が集まり、竹の間引き作業をしている。

 竹林は市有地で、市民団体「HATARAKU認知症ネットワーク町田」が昨年二月、六千六百平方メートルを無償で借りて作業を始めた。活動の場をつくるだけでなく、荒廃した竹林の再生も目指す。自生するタケノコや製造した竹炭を売り、活動費などを稼ぐのが特徴で、ネットワークの責任者は、「認知症の人もできることがあると知ってほしい」と願う。

 約一時間でボランティアらと三本の竹を切った認知症の男性(76)は「実家は農家で、子どものころ手伝わされた。竹林で仕事をするのは自分に合っている」と語った。ネットワークによると、体を動かし、笑うことも多いため、症状は進行しにくくなるという。農業青木留理さん(48)は「具合がよさそうなのを見ると楽しくなる」と話す。

 コーヒーチェーン「スターバックス」の市内全八店を会場にした市の「出張認知症カフェ」も、各店で月一回のペースで開催中だ。認知症を意味する英語の頭文字から「Dカフェ」という。患者や家族らがコーヒーを飲みながら、悩みごとなどを語り合っている。

 町田金森店であったDカフェでは、認知症の親を介護する初参加の夫婦を含め患者や家族、介護従事者ら十数人が集まった。市から委託を受けた認知症支援団体のスタッフが進行役を担当。認知症の男性(76)はみんなの話に聞き入り、妻(76)は親や配偶者を介護する人たちと意見交換し「同じ悩みを抱えた仲間がいると思うと安心。気持ちが軽くなった」と笑顔を見せた。

 店ではDカフェの看板を立て、若者ら他の客に認知症への理解も促す。林健二店長(47)は「ニーズは高まっており、日常的に集まれる場にしたい」と話す。

 予約なしで飲食店を訪れる新しい試み「D−sake」もスタート。認知症の人や支援者ら約五十人が一月末の夜、町田駅近くの店で酒を楽しんだ。認知症の男性は「また行きたい」と話し、妻は久しぶりの外出を喜んだ。

 認知症の人は家に帰れるかどうかの心配をしたり、支払いでのミスを恐れて外出を控えがち。好きなときに好きな店に行けるようになるのが理想で、事務局のケアマネジャー長谷川昌之さん(43)は「協力的な店が増えれば」と期待する。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報