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【東京】

<まちのおもしろミュージアム>(2)小津史料館(中央) 見て作って 和紙再発見

創業時からの歴史がわかる貴重な文書や千両箱などが展示されている小津史料館

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 「和紙がどうやってできるかご存じですか」。日本橋で一六五三年創業の和紙問屋「小津商店」が開く小津史料館を訪れると、広報の高木清さんは「まずは和紙を作ってみましょう」と手すき和紙体験工房へ導いた。

 歌川広重の浮世絵にも描かれた小津商店。江戸初期に伊勢松坂(三重県松阪市)出身の小津清左衛門が、この地で紙問屋として創業した。以来三百六十六年の和紙と小津家の歴史を展示する「小津史料館」は、「中央区まちかど展示館」に認定されている。

手すき和紙の工程を実演する小津史料館の高木さん=いずれも中央区で

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 手すき和紙体験工房や、全国の和紙や製作工程の分かる展示が並ぶ小津和紙照覧、書道用紙や小物などの店舗があり、子どもから大人まで和紙に触れて学び、楽しめる日本橋でお薦めのスポットだ。飲み物無料の休憩スペースもある。

 体験工房に入ると、和紙の原料は楮(こうぞ)やミツマタなどの植物だと説明を受けた。「原料から紙になるまで約十日を要する。楮百キログラムから紙にできるのは四〜五キログラムのみ」と高木さん。ここでは伝統的な技法の手すきを体験できる(有料・要予約)。

 原料の繊維が混ざった水に簀桁(すけた)をくぐらせてすくい、縦横に揺り動かす。記者がやってみると、繊維が片寄って均一にならない。凸凹の模様に、高木さんは「あなたのデザインですか?」と冗談も言ったが、「一回で成功する人は百人に一人くらい」と励ましてくれて、何とか完成させ達成感を得られた。美しい伝統和紙を作る職人の技術の高さを知ることができる。

小津史料館の入る小津本館ビル

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 外国人も多く訪れ、手すき体験の半数以上を占める。二〇一四年に国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に日本の手すき和紙技術が登録された影響もあり、口コミで人気が広まっているという。

 館内には、江戸時代の千両箱や貴重な古文書があり、小津家の歴史が分かる。畳六畳分の大判手すき和紙は圧巻だ。鳥取県の因州和紙職人が、十人がかりですいた楮製の一枚すき紙に四季図が描かれている。

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 和紙は、経年劣化や変色が少ない特性から、欧州で古い絵画の修復用に使われ、多く輸出されているという。展示された修復用の和紙は一平方メートル当たり一・六グラムと軽く薄い布のよう。「コピー紙のような洋紙と違って、和紙は繊維が長いので、縦横の引き裂き強度の差が少ない」という。

 各地の手すき和紙は触ることもできる。厚みや透け感、手触りは、さまざまだ。高木さんは「和紙は百枚あったら百枚それぞれに表情がある。実際に手に取り、和紙の魅力を発掘してほしい」と語った。 (長竹祐子)

 中央区日本橋本町3の6の2。東京メトロ銀座線・半蔵門線三越前駅、日比谷線小伝馬町駅からそれぞれ徒歩5分。総武線快速新日本橋駅徒歩2分。日曜、年末年始休館(GW中は日曜以外全て開館)。午前10時〜午後6時。入館無料。手すき和紙体験は1枚500円(予約優先、先着順)。問い合わせは、同館=電03(3662)1184=へ。

 

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