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【東京】

着ぐるみに入り、脱ニート 府中市のキャラクター 自立に一役

婚姻届を出しに来たカップルを喜ばせるふちゅこま=府中市で

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 府中市のキャラクター「ふちゅこま」が、若者の自立に一役買っている。不登校やニートを経験した調布市の大沢拓巳さん(21)は、ふちゅこまの着ぐるみに入る「スーツアクター」の仕事をきっかけに、活動の幅を広げつつある。 (松村裕子)

 令和初日の五月一日、婚姻届の提出者を祝うため、記念撮影コーナーが特設された府中市役所。大沢さんがふんするふちゅこまの着ぐるみが登場すると、カップルは次々と一緒に写真を撮り、「いい記念になる」「会えてラッキー」と大喜び。五十組以上が訪れ、十分に休憩が取れない忙しさだったが、大沢さんは「喜んでもらえてうれしい」と笑顔を見せた。

 大沢さんは中学二年のとき、病気による体調不良で学校を休みがちになり、半年ほどは全く登校しなかった。高校進学後に病気は治ったが、意欲がわかずに就職活動をせず、卒業後は仕事も就学もしないニートになった。

 スーツアクターの仕事と出合ったのは、そんな生活を送っていた約二年前。中学時代から通う調布市青少年ステーションCAPSのスタッフから勧められた。中高生の居場所になっているCAPSには、不登校のときも通ってイベントを手伝っていたため「手伝いの延長線上で」引き受けた。

 月一、二回、ふちゅこまになって市内外の催しで出演を続けた。いつも子どもらに囲まれ、写真撮影に引っ張りだこ。昨夏、多摩川の水辺イベントで子どもに寄り掛かられて転んでしまい、失敗したと思ったが、周囲は笑顔に包まれた。キャラクターは、むしろ失敗が喜ばれると知った。

 着ぐるみは重く、中は暑いが、すっかり慣れた今は「多くの人が寄ってきてくれるので、人気者になった気分」と楽しみ、「皆が見ているのは『ふちゅこま』なので緊張しない」と話す。

 スーツアクターを続けながら、CAPSを運営するNPO法人ちょうふこどもネットの非常勤スタッフになり、調布市の観光案内所や市役所でも働き始めた。昨秋には、地域の子どもイベントで実行委員長も務めた。

 NPOの平沢和哉理事長(41)は大沢さんについて「以前は知らない人とコミュニケーションを取りづらかったが、経験を積むことで変わった。スーツアクターは恥ずかしさがなくなり、一歩踏み出すのにもってこい」と語る。

 大沢さんは今月からNPOの常勤スタッフに。後輩に教える立場にもなり、「いろんな体験をして視野を広げたい」と意欲的だ。自分のような境遇の若者のため、CAPSをもう一、二カ所増やしたいとの夢も抱いている。

観光案内所で働く大沢さん=調布市で

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