東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 東京 > 記事一覧 > 5月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【東京】

終わらない戦禍 フィリピン日系2世の苦難 17日から新宿で写真80点展示

米国と日本、フィリピンの国旗が並ぶ日本人学校の前で撮影された戦前の写真を説明する石井さん=都内で

写真

 太平洋戦争前にフィリピンに移住した日本人男性と現地女性の間に生まれた日系2世がたどった苦難の歴史を紹介する展示会が17日から、新宿区のギャラリーで開かれる。戦時は日本軍に戦場へ駆り出され、戦後は報復などを恐れて出自を隠す人も多かった。主催団体の担当者は「終わらない戦後を生きる人がいることを知ってほしい」と話している。 (石原真樹)

 展示会「フィリピン日系人の歴史と今〜彼らの終わらない戦後〜」を初めて企画したのは、日本国籍の回復や親類との再会を望む二世らを支援してきたNPO法人フィリピン日系人リーガルサポートセンター(PNLSC)。展示会では、当時の写真など約八十点やビデオ上映でフィリピン日系人の歴史を振り返る。

 PNLSCによると、米領だったフィリピンに日本人が集団移住を始めたのは一九〇三年。道路建設や麻栽培などに従事し、最盛期は三万人以上が暮らした。だが、四一年の日米開戦で移民社会を取り巻く環境は一変。日系人は日本軍に徴用され、通訳や飛行場建設の労働力などとして重宝された。

 四五年に敗戦すると一世は日本に強制送還された一方、日本での生活に不安がある二世の多くは現地に残留した。差別や報復を恐れて出自を隠したり、無戸籍状態になったりしたため、満足に教育を受けられなかった人も少なくなかったという。

 日本政府は、中国残留邦人には状況調査や無戸籍の人への便宜供与などを実施しているが、フィリピン残留日系人への支援は行っていない。外務省の調査によると、フィリピン残留二世は三千八百十人。このうち、日本の戸籍に記載があった人や、証拠を集めて家庭裁判所で戸籍をつくる「就籍」が認められた人など、日本国籍を取得できた人は千二百十人という。

 PNLSC事務局の石井恭子さん(51)は、展示会で二世の存在を知ってもらうだけでなく、「国が起こした戦争によって肉親と引き裂かれたのは(中国残留邦人と)同じ」と訴え、立法による救済を求める署名活動への協力も呼びかけている。

 展示会はPNLSCなどの共催で二十日まで、新宿中央公園内のエコギャラリー新宿一階で。入場無料。午前十時半から午後六時(最終日は正午)、ビデオ上映は午前十一時、午後二時、四時の三回。問い合わせはPNLSC=電03(3355)8861=へ。

海軍施設部に入隊した日系の児童らの写真(1944年ごろ撮影、PNLSC提供)

写真
 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報