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【東京】

<東京人>浮世絵で歩く 東京の凸凹 想像力と知識欲の源

(上)歌川広重「東都名所高輪之明月」(所蔵・太田記念美術館)(下)浮世絵と同じ視線で撮影した現在の高輪

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 日本の歴史や東京の地形を知っていると、一枚の浮世絵だけで何時間も楽しい時間が過ごせます。歌川広重の「東都名所 高輪之明月」はそんな一枚。浮世絵と同じ視線で撮影した写真は新駅(高輪ゲートウェイ)建設の模様がしっかり写っています。

 絵はビルや展望台の上から眺めたような構図ですが、当時はもちろんここまでの高さの建物はありません。太田記念美術館学芸員の渡邉晃さんによれば、「浮世絵師は視点を自由に移動させて絵を描くのが大得意。特にこの絵を描いた歌川広重は、高いところから見下ろす構図を得意としていました」とのこと。

 エッセイストの能町みね子さんは「(絵のタイトルは)高輪大木戸なのに、大木戸をそれほどしっかり描いていないのが面白い」と、省略の美学に感心。

 一方、東京スリバチ学会会長の皆川典久さんは海岸線と街道、そして崖の関係に着目。「東海道にせまる崖は『沿岸の障壁』とよく紹介されています。この狭い場所をうまく使って、江戸時代の東海道が走っていました」と、東海道の生まれた理由に思いを馳(は)せていました。

 確かに崖がここまでせり出していると、東海道はもちろんのこと、その後の文明開化で東海道線が海岸線を走らざるを得なかった理由もわかってきます。

 文化風俗だけでなく、池や崖をはじめ、細かい地形までしっかりと描写している浮世絵は、私たちの想像力や知識欲をたっぷりと掻(か)き立ててくれる素晴らしいエンターテイナーなのです。 (浦島茂世)

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 「都市を味わい、都市を批評し、都市を創る」をキャッチコピーに掲げる月刊誌「東京人」の編集部が、7月号の記事をもとに都内各地の情報をお届けします。問い合わせは、「東京人」編集部=電03(3237)1790(平日)=へ。

 

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