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【東京】

<移住者新時代>つながりで町 元気に 都内の衣料品会社員→喫茶店店長

神奈川県横須賀市から埼玉県熊谷市に移住し、喫茶店を開いた矢野さん。「みんなで町を盛り上げたい」と意気込む=熊谷市で

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◆埼玉・熊谷市矢野浩一さん(52)

 「いらっしゃいませ」。階段を上って二階にある喫茶店の横扉をガラガラと開けると、店長の矢野浩一さん(52)と妻の恵美さん(49)が笑顔で迎え入れてくれる。

 暑さ日本一で知られる埼玉県熊谷市。喫茶店「AKIMOTO COFFEE ROASTERS」は、秩父鉄道上熊谷駅から徒歩約八分の閑静な住宅街にある。恵美さんの実家が営んでいた鶏肉専門店「秋元商店」の従業員アパートを改装し、二年前の春に開店した。地域での店の歩みを受け継ぎ、店のロゴに鶏を配した。

 自家焙煎(ばいせん)のコーヒーや近くの町の野菜などオーガニックな素材にこだわったサンドイッチや米粉のクッキー、パウンドケーキなどが味わえる。近くを走る電車の音が時折聞こえ、木製のテーブルやいす、ソファなどの家具で「くつろげる」と評判だ。

 都内の衣料品会社に長年勤めていたが、「行く末に不安があった」と二〇一六年夏に早期退職した。一年ほどかけてコーヒーについて学ぶなど準備を進め、生まれ育った横須賀市(神奈川県)を離れて恵美さんの実家がある熊谷市に移住。喫茶店を選んだのは「妻が得意だった菓子づくりの腕が生かせる」と思ったからだ。

 移り住んで二年。熊谷の印象を「コンパクトで横のつながりが感じられる」と話す。飲食店主ら自営業者らが開く地域のイベントに月に一〜二回、積極的に参加する。

 しかし、「経営は苦しい」と明かす。「まだ始めて二年だから当たり前なのかもしれませんがね。自転車操業ですよ」。続けていられるのは、相談に乗って励ましてくれる周囲の支えがあるからだと感謝する。

 県北部では最大の都市の熊谷だが、〇〇年の約二十万六千四百人をピークに人口は減り続け、今年四月一日現在では二十万人を割った。三〇年には十七万人台、四〇年には十五万人台にまで落ち込むことも予想されている。

 それでも、矢野さんは「町おこしにいろいろな人が関わっていてすごい」と魅力を感じている。古くからの住民が多い中、移住者の自分を温かく迎え入れてくれた熊谷。「横のつながりを大切に、みんなで盛り上げていきたい」と意気込んでいる。 (渡部穣)

 

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