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【東京】

「音楽が居場所になれば」 早稲田のライブハウス 子ども食堂に

ライブハウスでバンド演奏を楽しむ子どもたち=いずれも新宿区のライブハウスZONE−Bで

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 子どもの貧困対策として、支援の輪が広がっている子ども食堂。早稲田の学生街にあるライブハウスでは、ミュージシャン景山潤一郎さん(42)と店主、仲間の手によって、子ども食堂が始まった。子どもたちは、ドラムをたたいたり歌ったりと夢中だ。ここは、児童養護施設出身の景山さんの子ども時代の思いが出発点となっている。「嫌なことがあっても音楽が忘れさせてくれる。世代を超えた居場所になれば」と夢を語る。 (市川千晴)

 ♪ パプリカ 花が咲いたら 晴れた空に種をまこう−

 ライブハウス「ZONE(ゾーン)−B(ビー)」(新宿区喜久井町)で五月三十一日に開かれた、二回目の子ども食堂。地下二階のライブスペースで、幼稚園男児と小学生女児がステージ上のドラムをたたき、もう一人の女児はマイクを握り、楽しそうに歌っていた。ネパール人の男児も加わり、次の曲を一緒に歌い始めた。

 訪れた親子連れらは地下一階でカレーやマーボー豆腐を食べながら、大型画面に映し出される子どもたちの即興ライブを眺めていた。豊島区の会社員山口秀樹さん(45)は二回目の参加で、「普段は触れないドラムを使えるから子どもが行きたいと言い出した」とほほ笑む。

 岡山市出身の景山さんは、幼い頃に父親が自殺し、中学三年の時には母親も病気で亡くなり、養護施設に入った。高校時代にバンドを結成した後、養護施設を離れ上京した。現在は、バンド「ザ・プリズナー」のボーカルとして全国のライブハウスで活動している。

楽しそうに食事する子どもたちに笑顔の景山潤一郎さん(奥左)

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 景山さんには、忘れられない光景が幾つかある。小学二年の頃、一人で食べる夕食が寂しいからパチンコ店で弁当を食べたり、街灯の下で仕事から戻る母親を待っていた。「絶望に追い込まれない場所があったら」と願い続けた景山さんに、子ども食堂が重なった。

 二十年来の付き合いのオーナーの五十嵐陽一さん(44)に昨年秋、思い切って構想を持ち掛けた。「実家のようなライブハウスだからこそ、子ども食堂を開きたい」。五十嵐さんは「やりたいなら、俺も協力するよ」と賛同してくれた。

 新宿区保健所に相談し、景山さんが食品衛生責任者の資格を取りながら、準備を進めた。バンド仲間や支援者計五人も協力してくれ、ようやく四月にスタートした。現在、子ども食堂は月に一回程度だが、十月の札幌ライブでも昼間に子ども食堂を開く予定だ。

 養護施設を出た後、親との関係から自立せざるを得ない場合も多い。景山さんは「社会人になってから自分一人で社会の信用を勝ち得ていくので、地獄のような苦しみと孤独が続いた。あらゆる人が心のつながりと希望を持てる場所にしたい」と話す。

 次回は二十六日午後五時〜七時。子どもと三十歳ぐらいまでの養護施設出身者は無料。親同伴の場合、親は三百五十円。問い合わせは同ライブハウス=電03(3203)6022=へ。

 

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