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【東京】

<ひと ゆめ みらい>住民同士が協力し健康長寿 なぎさニュータウン自治会長・滝沢祥雄さん(65)

参加者のふくらはぎを測り、筋肉量をチェックする滝沢祥雄さん(左)=江戸川区で

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 「たくあんや、さきいかの硬さをかみ切れますか?」「一日一回以上、誰かと一緒に食事をしますか?」

 六月末、江戸川区南葛西の大型集合住宅、なぎさニュータウン内集会室に集まった約二十人の高齢者が、栄養や運動などの設問に次々答えていく。「たくあんなら、いつもポリポリ食べてるよ」。男性の話に、和やかな雰囲気が広がるのを、笑顔で見守った。

 築四十年以上の全七棟に約三千三百人が暮らすなぎさニュータウンの高齢化率は40%を超える。独居や引きこもりがちな高齢住民が増える中、「住民の健康寿命を延ばして、ニュータウンを活性化したい」との思いから、区と東京大学高齢社会総合研究機構が進める共同プロジェクト「フレイル予防」のモデル地区として参加し、積極的に取り組んでいる。

 「フレイル」とは、要介護になる手前の、筋力や活力が低下した状態のこと。栄養、運動、社会参加の三つの柱から高齢者の心身状態を定期的にチェックし、適切に支援することで介護リスクを減らす「フレイル予防」が注目されている。

 二〇一六年に自治会長に就任してすぐに、千葉県柏市でのフレイル予防導入例を知った。引きこもりがちな高齢者にも「これなら、出てきてもらえる」。自治会で提案したが、耳慣れない言葉に「最初は格好付けて英語使うな、などと言われました」。住民の理解を得るために、専門家の講演を開くなど「善は急げと、フレイル予防の大切さを、辛抱強く伝えた」と言う。

 商社マンだった頃、油田やガス開発部門で、海外勤務が長かった。異文化で培った交渉経験が今の自治会で生きていると笑う。「人付き合いは海外も自治会も同じ。時間をかけて、ひたひたと親しくなることが大事だと学びました」

 理解が広まり、フレイルチェックを支えるサポーターの養成講座を開くと約二十人の住民が受講。住民による住民のためのフレイルチェックを集会室で一年半で十回開催し、多くの高齢者が、半年から一年に一度のチェックを受けるようになった。これをきっかけに、住民同士の交流も広がっているという。

 「引っ込んでいては要介護に陥る。住み慣れた地元で、元気に自立して暮らせれば、本人も、家族も、地域もみんなが幸せになれる」と願い続けている。 (長竹祐子)

<フレイル予防> フレイルとは、筋力や認知機能などが低下した虚弱(英語で frailty)を元にした造語。東京大学高齢社会総合研究機構の飯島勝矢教授らが考案した、地域住民が集い、心身機能をチェックし合うプログラムのこと。杉並区、西東京市など、全国の自治体に広まっている。

 

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