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【東京】

国産スギ棺で安息の「旅」 台東の染木さんが製造

国産スギで作った棺をPRする(左から)巽登志夫さん、染木幸雄さん=台東区で

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 大切な人の「旅立ち」を、日本の木のぬくもりで見送りませんか−。今ではほとんどが中国産材になっている葬送の棺(ひつぎ)を、台東区竜泉の葬儀・棺製造業「染木商店」が国産のスギで作る取り組みをしている。建築資材としてはあまり使われない部分を利用しており、同社は「手ごろな価格で提供でき、国産木材の有効活用にもなる」とPRしている。 (小倉貞俊)

 「香りや肌触りといった天然木の良さを感じてもらえるはず。安息の床として選んでもらえれば」。大正時代から続く同社三代目社長、染木幸雄さん(65)は力を込める。

 染木さんによると、棺はかつて、モミなどの天然木の板材で作るのが一般的だった。だがコストの上昇などで、昭和五十年代ごろから国産材の需要が激減。現在は中国製品が主流となっている。「国産の無垢(むく)材の棺は百五十万円はする高級品で、市場の九十数%は外国産材」(染木さん)という。

 取り組みのきっかけは十年ほど前。「いつか国産材の棺を復権させたい」と考えていたところ、取引先の材木店で、同じく大正期創業の「巽(たつみ)商店」(江東区木場)の三代目、巽登志夫さん(70)から「あまり使われていないスギの辺材(外側)部分を活用してはどうか」と提案された。同じスギでも、強度があって建築資材として重宝される芯材(内側)部分と比べ、辺材部分は乾くと反りやすい難点もあり用途が限られるが、価格は安い。

 二人で研究し、反りなどの変形を防ぐことに成功。七年前に試行品を完成させて実用新案登録し「杣(そま)」という名称で商品化した。棺は長さ百九十五センチ、幅五十六センチ、高さ四十センチ。表面を木目の美しい「木表」か、節や木肌を目立たせた「木裏」でそろえた二種類を作った。価格は従来の中国製品が約十万円なのに対し、十一万円とほぼ変わらない値段。

 ここ数年は年間数件のペースで販売してきたが、今年初めには著名な文化人の葬儀で使われ、「潜在的な需要がある」とみて本格的な供給に乗り出した。葬儀社に紹介してもらうよう働き掛けるほか、直売のための宣伝にも乗り出す。「人生の終わりに向き合う『終活』を、家族と考えるきっかけにもなります」と染木さん。巽さんも「スギの辺材の有効活用が、放置され荒れた山林の利用を促し、国内林業の再興にもつながる」と期待を寄せる。

 問い合わせは、染木商店の別会社「杣風」=電03(5603)5087=へ。

 

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