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【東京】

「戦争は生存者に地獄の苦しみ」 杉並の女性講演

長崎での被爆体験を話す立野季子さん(右)=杉並区で

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 太平洋戦争末期の原爆がもたらした惨状や核兵器のない社会について考える講演会が十八日、杉並区の高円寺図書館であった。区内在住の立野季子(すえこ)さん(87)、竹内ひで子さん(76)が講師を務め、戦争や核兵器によって市民が犠牲になることのない世界にすべきだと訴えた。

 立野さんは、十三歳のときに長崎市の爆心地から三キロほど離れた自宅近くで被爆した。防空壕(ごう)を掘る手伝いの最中に「ピカッと光った。目がくらむ強い閃光(せんこう)が走った」。原爆投下後の長崎の街には皮膚がただれ、骨がむき出しになった市民が歩き、腐敗臭が立ち込めた。

 痛みのあまり「殺してくれ」と泣き叫ぶ人もいたが、どうすることもできなかった。通っていた学校の友人や恩師も犠牲になった。立野さんは「戦争は人の命を奪い、生き残った人に地獄の苦しみをさせる。二度と繰り返してはいけない」と語り掛けた。

 一九五四年三月、静岡県焼津市の漁船「第五福竜丸」が米国のビキニ水爆実験で被ばくした後、杉並区から原水爆の禁止を求める署名運動が全国に広がった。そのきっかけとなったのが、区内で鮮魚店を営んでいた竹内さんの両親だった。「市民が安心して魚を食べられるように」との思いから、署名集めを同業者に呼び掛けたという。区内の主婦らが精力的に活動し、賛同する署名は全国で三千万筆に達した。竹内さんは「全国のお母さんたちに『二度と戦争は嫌』という共通の思いがあったのでは」と推し量った。

 講演会は高円寺図書館が企画し、約四十人が来場した。同図書館では二十日まで、パネルや写真、関連書籍を集めた展示会「杉並から始まった原水爆禁止署名運動」を開いている(午前九時から午後五時まで)。 (松尾博史)

 

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