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【東京】

<つなぐ 戦後74年>著名人が語り継ぐ「戦争」 「私の八月十五日(7)」国立の出版社が作品集

出版した作品集を持つ中嶋社長(右)とイラストを担当した絵本作家の吉沢さん=国立市で

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 戦争体験のある著名人らが、終戦の日の記憶を文章やイラストで表現した作品集「私の八月十五日(7)−戦後七十四年目の証言−」が出版された。旧満州(中国東北部)で終戦を迎えた漫画家の森田拳次さんの発案で二〇〇四年に出版された作品集の流れを引く。出版した「今人(いまじん)舎」(国立市)は、内容を後世に語り継ごうと、本人や親族らによる朗読を録音し、学校や図書館に贈る活動にも取り組んでいる。 (竹谷直子)

 「私の八月十五日」は〇四年の発刊後、いったん絶版になった。一四年、戦後七十年を前に同社が復刊に向けて動きだし、新たな証言を加え一五年に出版。その後も年一〜三冊、戦争体験者の証言を集めて刊行している。

 一五年から数えて七冊目となる今回は、十九人分を収録した。俳優の山本富士子さんは終戦時に「これからどうなるのだろう」と姉と抱き合って涙を流したエピソードを紹介。元SEALDs(シールズ、自由と民主主義のための学生緊急行動)の奥田愛基(あき)さんの祖母・藤田信子さんは、フィリピンのミンダナオ島で終戦を迎え、米軍から隠れてジャングルを逃げ回る生活を終えたことなどをつづった。イラストは絵本作家の吉沢みかさんが担当した。

 今人舎によると、これまで掲載された体験者は森田さんや歌手の加藤登紀子さんら百九十七人。このうち朗読の録音に約百六十人が参加した。音声はペン型のIT機器で再生し、ページに触れると当事者の朗読が聞ける仕組み。無償で協力してもらっているため機器は非売品とし、平和学習で活用を希望する教育機関や団体に贈っている。

 国立市で今年十月、広島市などから集まって開かれる「平和首長会議」では、作品集の一部がパネル展示される予定で、出席者に音声再生機で朗読を聞いてもらうことにしている。

 全国を回って体験者に会い、録音にも出向いているため、交通費などで出版のたびに赤字が出ているというが、今人舎は戦後七十五年となる来年まで発刊を続ける。中嶋舞子社長(40)は「戦争の記憶は語る人がいなくなれば消えてしまう。戦争は怖いし、聞きたくない人もいるだろうが、目を背けずに向き合ってほしい」と話す。

 作品集は千八百円(税別)。問い合わせは今人舎=電042(843)0908=へ。クラウドファンディングのサイト「Motion Gallery」で九月二日まで、活動資金を募っている。

 

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