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【東京】

<ひと ゆめ みらい>子どもや若者の伴走者に NPO「サンカクシャ」代表理事・荒井佑介さん(29)

食事をしながら子どもらと笑顔で話す荒井佑介さん=豊島区で

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 子どもや若者の孤立を防ぎたい−。中高校生らの社会参画に取り組むNPO法人「サンカクシャ」(豊島区)を五月に立ち上げた。親でも先生でも友達でもない「伴走者」として、少年、少女たちと同じ目線の高さで向き合う。

 夏休みの昼下がり。区内の拠点に高校生や大学生が集まってきた。昼食のタコ焼きを作ると、「いつも寝ている荒井さんが、カメラの前だと作ってくれる」と笑い声が響いた。

 寝てもいいし、漫画を読んでもいい。好きに時間を過ごし、勉強しろと頭ごなしに言われない。企業の運動部との交流や、チラシの折り込みといった仕事、イベント企画なども体験できる。大学生の男性(19)は「いろいろな社会人と話もできて面白い」とはにかむ。

 こうした活動に携わるきっかけは、大学一年生のころにさかのぼる。新宿駅近くで具合を悪そうにしていたホームレスの男性に話しかけた。終電まで二時間話し込み、再び落ち合うことに。男性は翌週、約束通りやってきて、コーヒーもおごってくれた。「愛嬌(あいきょう)がある人で、楽しかった」

 男性との茶話会はその後も続き、自立の難しさや半生など、さまざまな話を聞いた。ホームレスに関心を持ち、就労支援のNPOを立ち上げ、関連団体でインターンもした。「何よりホームレスのおじさんたちの輪にいるのが好きだった」

 多くが子どものころに貧困や虐待経験があることが気になるように。「子どもの貧困に携わりたい」と、中学生の学習支援団体の運営などを始めた。するとまた「はまっちゃった」。

 掛け算もできなかった男子生徒は、雑談ばかりしているうちに荒井さんが持っている本を読み、受験に向けて猛勉強するように。女子生徒から虐待された経験を聞き、一緒に泣いたこともあった。不良少年とも関わるようになり実感した。「家族らから愛情を注がれた経験が乏しく、寂しさゆえに目立つ行動をしていた。大人から『来るな』と言われ、仲間と群れていた」

 二〇一五年に、子どもの居場所を運営するNPOの設立などに参画。現在は、サンカクシャでさらに奮闘する。誰とでも対等な関係を重視するのは、ホームレスと付き合ってきたころから変わらない。「話を聞き、一緒に喜ぶ人がいて初めてやる気が出る。将来を考えられる。そんな伴走者が、もっと必要なんです」 (中村真暁)

<NPO法人サンカクシャ> 子どもたちから「事務所」と呼ばれる拠点は、毎週木、土曜の午前10時〜午後8時に開かれ、中学生から25歳ぐらいまでの約80人が利用。大学生や社会人などのボランティアを含めたスタッフは約60人。先月、文京区内にも拠点を開いた。各拠点の所在地など問い合わせは、サンカクシャのホームページから。

 

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