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【東京】

語り部の平沢さん 決意新た 多磨全生園が創立110年

渡部尚市長(左)から市民栄誉賞を授与された平沢保治さん=いずれも東村山市で

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 ハンセン病元患者らが暮らす国立療養所多磨全生園(たまぜんしょうえん)(東村山市)は二十八日、創立から百十年を迎えた。前日の二十七日には園の入所者自治会長で長年にわたって語り部を続ける平沢保治(やすじ)さん(92)に市から市民栄誉賞が贈られ、隣接する国立ハンセン病資料館では二十八日から企画展「望郷の丘」が始まった。 (服部展和)

◆東村山市民栄誉賞に 未来担う子どもたちへ思い

 平沢さんの市民栄誉賞贈呈式は東村山市役所で開かれ、渡部尚(たかし)市長から盾が贈られた。平沢さんは妻範子さん(91)や先輩の入所者らに感謝し、語り部などの活動を続ける決意を新たにした。

 平沢さんは茨城県古河市生まれ。十三歳だった一九四〇年にハンセン病と診断され、翌年に多磨全生園に入所した。戦後は入所者自治会の再建に取り組み、会長や副会長を歴任。障害者の権利を守る運動にも尽力している。

 差別や偏見をなくそうと、八〇年代後半から国内外で自身の経験を語るように。二十七年前から続ける小中学生向けの講演では、三つの約束をしているという。「夢と希望を持つこと」「ありがとうと言える人になること」「命を粗末にしないこと」

 平沢さんは、旧優生保護法下で強制不妊手術が行われた問題に触れながら「私たちは子どもをつくることを許されなかったけれど、子どもは世界の宝」と、未来を担う子どもたちへの思いを語った。

 市民栄誉賞は女流棋士清水市代さん、パラリンピックに出場した要田美紀さんと上村知佳さん、尺八奏者の故青木鈴翁(れいおう)さんに続いて五人目。

◆視覚障害入所者の歴史 資料館で企画展「望郷の丘」

 「望郷の丘」は、多磨全生園の目の不自由な入所者の団体「多磨盲人会」が一九七九年に出版した証言集。企画展では、収録された証言を基に園の歴史を紹介している。

 園は〇九年に公立療養所第一区府県立全生(ぜんせい)病院として発足。四一年に当時の厚生省に移管され、現在の名称になった。「望郷の丘」では、全生病院時代の入所者を含め三十五人が証言している。

 会場には「ここへ入ったら死ぬまで出られない」「十二畳半に七人も八人も入る」などの証言の一部とともに、当時の写真や生活道具を展示。入所者が国の強制隔離政策による差別や偏見と闘いながら、生活環境改善を獲得してきた歴史が分かるようにした。ハーモニカバンドなど入所者の文化活動が、社会の理解を進める役割を果たしたことも紹介している。家族への思いが込められた証言を集めたコーナーもある。十二月二十七日まで。入館無料。期間中、元職員による講演など関連企画もある。問い合わせは同館=電042(396)2909=へ。

証言集「望郷の丘」をテーマに、多磨全生園の歴史を紹介している企画展

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