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【東京】

多摩、府中の歴史伝える 旧関戸橋の一部、両岸に保存

多摩市側に移設された旧関戸橋の親柱とバルコニーのある欄干=多摩市で

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 一九三七(昭和十二)年に多摩市−府中市間の多摩川に架けられ、老朽化のため撤去が進む旧関戸橋の一部が、地元住民の要望で保存されることになり、両岸の公園に移設された。地元に初めて建設された橋で、住民らは歴史遺産として継承し、地域振興のために活用したい考えだ。 (松村裕子)

 旧関戸橋は長さ三七五・八メートル、幅八・八メートルでコンクリート製。戦争で鉄が不足した時代にだけ建造された形式で、橋脚ごとに街灯付きのバルコニーが設けられ、珍しいデザインという。

 戦前の同じ形式の橋では全国屈指の長さ。七一年に上り専用の橋が増設された後、下り専用で供用されてきたが、老朽化のため管理する都が架け替えを決定。昨年、仮設の橋が開通し、旧橋の撤去に着手した。

1937年、完成当時の旧関戸橋(都建設局所蔵)

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 住民らが保存を要望したのは、架け替え事業が始まる前に、都が両岸でそれぞれ地元向けに開いた説明会の場。双方から「思い入れの深い橋なので残してほしい」との声が上がり、都が応じた。

 多摩市側には、ろくせぶ公園(関戸)に「関戸橋」「せきどばし」と書かれた親柱一対と、バルコニー付き欄干の一部が移設された。橋ができるまで関戸(中河原)の渡しで川を往来し、昭和初期まで鵜(う)飼いが行われ、観光地だったことが分かる解説板もある。

 地元の川久保准一さん(66)は「バルコニーから下をのぞくと、水が澄んでいて魚が泳ぐのが見えた。橋脚から飛び込んで泳いだ」と幼少時を振り返る。関戸自治会の中村洋一会長(74)は「モダンで歴史もあり、地元の自慢」と強調。地元で観光ボランティアとして活動する森田利夫さん(77)は「まち歩きなど観光に活用したい」と話す。

 府中市側には中河原公園(住吉町)に、バルコニー付き欄干と橋名板が設置された。保存を求めた高野数明さん(76)は「小学生のころ、橋を渡って多摩市の雑木林にクリを採りに行った。橋に歩道はなかったが、通る車は少なかった」と懐かしむ。地元の高野忠さん(67)は建設会社で橋の設計に携わった経験から「バルコニーや花こう岩の手すりがおしゃれで美しい」と保存を喜んだ。

府中市側にある橋名板と欄干=府中市で

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