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【東京】

台風19号から1週間 復旧進むも課題浮き彫り

 台風19号の上陸から19日で1週間。多摩地区の各地でも、災害ごみの撤去や被災住宅の修繕など、復旧に向けた動きが本格化する一方、避難所の運営の在り方や災害への備えなど、課題も浮かんできた。 (花井勝規、布施谷航)

◆根川氾濫 調布・染地地区ルポ ごみ、2トントラック60台以上

浸水家屋から出された災害ごみを片付ける市職員や清掃業者ら。搬出が進み、ピーク時の10分の1程度に減ったという=いずれも調布市染地で

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 多摩川沿いの調布市染地地区。多摩川はぎりぎり越水を免れたが、同地区の東隣の狛江市内で多摩川に注ぐ根川から水があふれるなどで、住民によると、一帯は深いところで一メートル近く水に漬かった。

 調布市内の床上、床下浸水件数は計百八十件(十八日現在)。市担当者によると今後も増える可能性があるという。

 現在は水が引き、被災家屋から出たごみの後片付けは終盤に差しかかっている。十九日は市職員や清掃業者ら二十人が、ごみの集積所で搬出作業をした。これまでに搬出したごみの量は二トントラックで六十台以上にのぼるという。

水没した地下の部屋で始まった修繕工事。割れた窓が水圧の大きさを物語る

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 浸水被害が深刻だった地域を歩くと、地下に部屋がある二階建ての住宅が多いのが目につく。

 「今もあの時を思い出すと生きた心地がしない」と話すのは団体職員の女性(56)。風雨のピークが過ぎた十二日午後十時すぎ、地下にある子ども部屋の窓が割れる音がして、大量の水が部屋に入ってきた。「キャー」という悲鳴とともに階段を駆け上がり逃げてきた子どもの恐怖の表情が頭から離れない。

 水没した地下の二部屋のベッドや本棚などの家具はすべて処分した。やはり地下にあった給湯器が水没した影響で今も風呂が使えない生活を強いられている。女性宅周辺の約六十軒は地下に居室がある同じ構造で、軒並み被害が出た。

 別の分譲住宅街に住む高齢女性宅もやはり地下に部屋があり、大量の本が全滅したという。窓ガラスは水圧で大きく損傷し、業者が入って室内の修繕工事を始めていた。

◆八王子など ボランティア支援本格化

市民が駆けつけたボランティアセンター本部=八王子市元本郷町で

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 多摩地区ではボランティアによる支援活動も活発になっている。八王子市は十九日、災害ボランティア支援センターを開設、大勢の市民が受け付けを済ませ、被害の大きかった市内の恩方地区や浅川地区などに向かった。

 市役所職員会館に設けられたボランティアセンター本部には、午前八時半の受け付け開始前から市民らが列を連ねた。昭島市の会社員北條聡志さん(49)は「近くで被害が出ているので、なんとか支援をしたくて」と現地の様子を心配した。

 浅川地区にある裏高尾町の農業峯尾丈士さん(68)方では、社会人野球チーム「セガサミー野球部」の選手ら十人が、倉庫に入り込んだ土砂を土のうに詰めて運び出していた。

 峯尾さん方には近くの南浅川からあふれた泥水が浸入。畑や車庫、倉庫は膝の下の高さまで泥で埋まったという。峯尾さんは「若い人たちのおかげで後片付けがはかどりました」と感謝した。同野球部のコーチ、城下(じょうした)尚也さん(36)は「八王子を本拠地にしているので、地元に貢献できればと参加しました」と汗をぬぐった。

 市によると、この日は百一人がボランティアに参加。二十日以降も募集する。問い合わせは、同センター=電090(8510)6046=へ。

 一方、調布市染地地区で十四日から活動を始めた市社会福祉協議会の災害ボランティアセンターには十九日、市内外から四十人が参加。被災家庭の清掃などを手伝った。センター長の高木直さん(57)は「他地域の災害支援はしたことがあるが自分たちでセンターを運営したのは初めて。地元の中学生から『自分たちにもやれることはないか』と申し出があり、うれしかった」と話した。

◆狛江と調布 市民殺到、避難所パンク 不満や苦情、運営見直しへ

 台風19号による風雨が激しくなった十二日夕、多摩川沿いに位置する狛江、調布両市が開設した避難所に市民らが殺到し、収容能力を上回るパンク状態になっていたことが市などへの取材で分かった。風雨が強い中で入場を断ったり、他の避難所へ移動するよう促した例もあり、避難した市民の不満や苦情は多い。両市は今後の災害時に備え、開設数を増やすなど避難所の運営方針を見直す考えだ。

 狛江市によると、開設した自主避難所や指定避難所計十二カ所に約三千九百人が避難した。このうち約千人が避難した狛江第二中学校など四カ所が満杯になり、受け入れを制限し、他の避難所に回るよう促した。市の広報担当者は「無理やり入れればさらに収容できたと思うが、徒歩五分で行ける他の避難所へ移ってくれとお願いした。強制ではない」と話す。

 調布市では、十八カ所の避難所に約六千人が避難。定員千人を想定していた第三小学校に約千五百人が殺到するなど三、四カ所の避難所が満杯になり、他の避難所へ誘導する事実上の入場制限をかけた。

 「教室内で二メートル四方のシートを敷き四、五人で座った」。約千人が避難した第二小学校に一家九人で避難した主婦(70)は、あまりの混雑ぶりに途中で自主的に他の避難所へ移った。「体育館も各教室も人でいっぱい。水で濡れた廊下にも座り出す人であふれていた」と話した。

 

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