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【東京】

<東京人>台北ディープ散歩 Y字路は記憶の断面図

台北市同安街にあるY字路。右側の道はかつて水路だった(熊谷俊之撮影)

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 台北Y字路の成立した理由は、だいたい以下の三つのどれかに当てはまります。

 一つめは高低差。地形の凸凹に沿って自然にできたY字路です。東京だと、渋谷の道玄坂の台湾料理レストラン「麗郷」のあるY字路はその好例で、谷地形である渋谷の街には多くのY字路が見られます。

 二つめは、かつて水路や河川・鉄道・旧道があったこと。水路が覆われて暗渠(あんきょ)となり、Y字路を形成したものです。また鉄道の地下化や廃線で生まれた「鉄道型Y字路」や、昔からあった古い道に幹線が開通した「旧道型Y字路」もここに含まれます。

 三つめは「都市計画型Y字路」。フランス・パリの放射状の街づくりのように、あらかじめ計画されたY字路です。カテゴリー化するにあたって試みたのは、そのY字路の環境を昔の地図で確認することでした。時代ごとの地図を見ているうちに、たくさんのことがわかりました。

 古来、台湾に暮らしてきた原住民族の時代から、台湾が世界地図の中に初めて登場した大航海時代、清朝、日本時代、戦後と統治者が変わるにつれ、土地の名前も移り変わっていること。各時代の都市計画のはざまにY字路ができていること。そして、Y字路のあるエリアでかつて起こったさまざまな出来事について、現代人の多くは忘れてしまっていること。

 ともすれば都合のよい歴史だけが取り沙汰される現代に生きる私たちに、Y字路は忘却にあらがう術を、教えてくれるようです。 (栖来ひかり)

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 「都市を味わい、都市を批評し、都市を創る」をキャッチコピーに掲げる月刊誌「東京人」の編集部が、11月号の記事をもとに都内各地の情報をお届けします。問い合わせは、「東京人」編集部=電03(3237)1790(平日)=へ。

 

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