東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 東京 > 記事一覧 > 10月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【東京】

<ひと ゆめ みらい>老犬介護 気軽に相談を 老犬介護士・平端弘美さん(58)

飼い犬の足腰を鍛える訓練をする平端さん=多摩市で

写真

 「赤ちゃんのおむつが使えます」「散歩は玉砂利や木の根のある所がいい」。老犬の介護や健康づくりについて、勤務先の動物病院や訪問介護に出掛けた飼い主宅で助言する。まるで犬の介護福祉士のようだ。昨春、犬好きの主婦から老犬介護士に転身した。

 八年前、アニマルセラピーのテレビを見て感動し、犬で人を癒やす仕事がしたいと犬のトレーナー資格を取った。町田市でトレーナーを始めると、客から「ソファに飛び乗れなくなった」「運動をしたがらない」と老犬の相談が相次いだ。

 二十歳を超える長寿犬も増えているが、七、八歳が老犬の入り口。目が見えなくなったり耳が聞こえなくなったり、寝たきりや認知症になる場合も。飼い主が「大人しい犬だったのに、後ろから抱きかかえたらかみつかれた」と訴えたケースは、目や耳が不自由で飼い主と分からず驚いた可能性がある。ペットの変化をどこに相談していいか分からない飼い主が多い一方で、シニア犬の体と心を知るトレーナーが少ないと気づいた。

 「シニア犬のプロになろう」。ジャパンペットケアマネージャー協会(江戸川区)の養成講座で一から勉強し直し、約一年がかりで老犬介護士に。多摩市の動物病院で老犬のリハビリや相談を始めた。多摩地域や川崎市、山梨、茨城県まで訪問介護に出掛け、排せつや入浴の世話をする。整体の技術も学び、今秋からはマッサージも始めた。

 体力がいる大型犬の介護で「ぎっくり腰に気を付けて」と教えながら、自分がなったことも。老犬の介護に悩む飼い主の心のケアに腐心するが、助言を聞いて「楽になった」と言われ、マッサージをした犬が立てるようになったと聞くと、老犬介護士冥利(みょうり)に尽きる。

 残念なのは、「年だから」と言われ、あきらめている飼い主が多いのに、老犬介護士の存在が知られていないこと。「気軽に相談してほしい」と願う。協会によると、これまでに約二百人を認定し、全国で約四十人が活動している。

 セミナーや催しでの啓発にも力を入れる。飼い主は犬が衰え始めてから相談に来るが、「若いうちから栄養と水分をとって運動をすることが大事」と強調。体力が衰えても「今できることを見つけて褒めてあげて。犬が自信をなくさないように」と優しい目で語る。目指すのは介護の必要な犬をつくらないこと。「飼い主が飼い手のプロになるよう予防運動を広げたい。犬と一緒に楽しんで健康づくりをしてほしい」 (松村裕子)

<メモ> さいたま市出身。多摩市に夫と暮らす。同市のこうご動物病院に定期的に勤務。問い合わせは「ひだまりシニア部」=電090(4453)7908=へ。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報