東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 東京 > 記事一覧 > 11月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【東京】

想いこめ口や足でスポーツ描く アートの「パラリンピック」有楽町できょうから

描くときは、口に筆をくわえる古小路浩典さん=大田区で

写真

 病気や事故で両手の自由を失った画家たちが口や足で描いた絵画展「スポーツや平和に想(おも)いをこめて」が十日、東京交通会館(千代田区有楽町二)で始まる。キャンバスの上で、かろやかに俊敏に躍動する選手たち。アートの「パラリンピック」は十六日まで。 (中村真暁)

 左手だけであん馬をつかんで体を支え、つま先までピンと伸ばした両脚を振り上げる体操選手。周りには翼を広げた白い鳥たち。「懐かしいなと思いながら描いたんです。あん馬を練習していたころは、打撲して脚中が紫だったなって」。画家の古小路(こしょうじ)浩典さん(56)=大田区=は目を細めた。

 器械体操部に所属していた中学三年のとき、マット運動の練習中に頸椎(けいつい)を骨折し、肩から下がまひした。五輪メダリストを輩出する強豪高校の推薦入学を目指し、面接試験を受ける前々日の出来事だった。

 約二年で入院生活を終えたが、何をするにも介助が必要で、卑屈になりプライドも失った。そんなころ、週に一回、自宅で教わることにしたのが絵画だった。

 「体操で表現してきた美しさや鍛えてきた忍耐力が、絵画にいきている」。絵を続けるうちに、先生からそう評価され、「やってきたことがつながった」。自分を肯定し、別のプライドを持つことができるようになった。

 今回はスポーツがテーマのため、器械体操を題材に選んだ。「自身の歩みが絵に表れたかな。見た人に、伝わる物があるかもしれない。多くの人に見てほしい」。大切なことを見つけ、それを育てるきっかけになればうれしいという。

 絵画展には、主催者の「口と足で描く芸術家協会」所属の画家約三十五人の約六十点が展示される。モチーフはサッカーや柔道、卓球など。生まれたころから手足が不自由な画家もいる。その一人、森田真千子さんは「動かない体を無意識に動かし、競技をしている感覚を何度か味わいながら描いた」というコメントを絵画展のチラシに載せている。

 午前十時〜午後六時。十日は正午から。入場無料。画家の実演もある。問い合わせは、口と足で描く芸術家協会=電03(3267)2881=へ。

器械体操をテーマに描いた古小路さんの絵

写真
 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報