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【東京】

台風19号1カ月 個々の判断基準で早期避難 あきる野・山田下分地区

台風の爪痕は残るが、人の被害はなかった山田下分地区=あきる野市で

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 多摩地区の山間部などで大きな被害が出た台風19号の上陸から十二日で一カ月。被害への対処のほか、八王子市やあきる野市で、避難指示が出ても多くの市民が避難しなかったことが課題として浮かんでいる。そんな中、浸水被害に遭う前に、いち早く全世帯が避難した地区が注目を集める。あきる野市山田下分地区だ。市の担当者は「他地域でも参考になる」と指摘する。 (布施谷航)

 全十四世帯が床上浸水した同地区は、多摩川支流の秋川沿いに位置する住宅地。ここで暮らす人たちは「自分なりの避難の判断基準」を持っていた。

 「橋のすぐ下まで水が上がっていた。今までにない早さだった」。造園業の榎本忠さん(70)は十二日朝、下流の引田橋を見て異変を感じ、行動を始めた。浸水に備えて書類などの貴重品を押し入れの上に移し、妻と避難した。翌日、家に戻ると貴重品も水浸しになっていた。「家に残っていたら、命を落としていたかもしれない」と話す。

 会社員の平原修一さん(57)は「ふだんは見える堰(せき)がすっかり見えなくなっていた」タイミングで避難した。地域の消防団員は「ブロックの三段目まで水量が上がっている」と声をかけて回ったという。地区の岡村晃自治会長は「みんな、秋川を意識して生活しているので、異変に気付いたのではないか」と指摘する。

 台風19号の接近で、市が一帯に避難勧告を出したのは十月十二日午前十時五十五分だが、住民のほぼ全員が勧告前に避難所や親戚宅に退避していた。結局、近くの堤防から川の水があふれ、十四世帯が暮らす地区は約一・五メートルの高さまで浸水した。今も地区内にはコンクリート片や使えなくなった畳が山積みだが、死傷者は一人も出ていない。

 だが、山田下分地区のように、迅速に避難する住民は全体では少数派といえる。八王子市内で、避難所に入った住民は最大で八千四百五十七人で、避難指示対象者のわずか4・5%だった。土砂災害の危険が高い山間部の檜原村は全村民に避難勧告を出したが、避難所へは19・2%しか行かなかった。

 親戚の家などに向かったケースも考えられるが、八王子市の担当者は「自身の判断で家に残った人も多いだろう」と情報伝達の難しさを認め、「『自助』の意識を高め、どのように行動するかを判断してほしい」と訴える。

◆孤立状態が続く奥多摩・日原地区 都道の一部崩落

 台風19号の影響で日原(にっぱら)街道(都道)の一部が崩落し、車での行き来ができなくなった奥多摩町日原地区は、依然として孤立状態が続いている。

 町によると、同地区では他の地域へ避難した人らを除く四十四世帯、七十三人が暮らしている。仮設歩道が設置され、住民たちは歩いて食料などを運べるようになったが、都道の全面復旧の見通しは立っていない。

 同じように一時孤立した日の出町大久野へは、崩落した都道が五日に復旧し、車で通行できるようになった。 (服部展和)

 

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