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【東京】

<ひと ゆめ みらい>生活困窮者らが働く「あうん」スタッフ 山口かおりさん(45)=荒川区

「おじさんたちの生きる力に感化された」と語る山口かおりさん=荒川区で

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 生活困窮者らが働くリサイクルショップや引っ越し便利業などを運営する企業組合「あうん」(荒川区東日暮里一)のスタッフとして、二〇〇七年から働いている。自身もあうんに勇気づけられた一人で、「居場所がなかった自分を『来る者拒まず』の精神で受け入れてくれた」と感謝の思いを話す。

 十年以上前、当時の夫からドメスティックバイオレンス(DV)を受けていた。子ども三人とともに逃げようと決め、引っ越し準備をする中で、あうんの存在を知った。

 山谷などで野宿生活を経験してきた人生の先輩方と事務所で出会い、衝撃を受けた。「おじさんたちが楽しそうだった。自分は独りぼっちだったけれど、彼らの生きる力に感化された」。もともと明るい性格ではなかったが、彼らにあこがれのような感情を抱くとともに「こんな自分でも、ありのまま生きられる場所があるのかもしれない」と前を向けた。人生観が変わり、視野が広がった瞬間だった。

 高校に不登校だった長女が、あうんでアルバイトを始めたことをきっかけに、自身も働き始めるようになった。あうんでは主に、事務員やリサイクルショップ店員として働く。引っ越し便利屋業で発生した不用品を仕分け、リサイクルできる洋服や雑貨、生活用品を販売している。

 その中で、地域には生活困窮者だけでなく、ネパールやベトナム、韓国など日本語が不自由な外国籍の住民も多くいると分かった。日常的に誰もがつながり、気軽に相談しあえる街をつくりたい−。そんな思いから、地域ぐるみで交流できるイベントの開催に尽力している。

 最近は、三十日に東日暮里一丁目公園で行われる地域祭り「ひと・もの・くらし あらかわ再発見2019」の準備に追われている。世界各国の食事が楽しめる屋台ブースのほか、三味線や朝鮮打楽器の演奏、都立竹台高ダンス部(同区)のステージなどが予定されており「国籍や性別、年代にかかわらず、地域の人たちみんなが楽しめるイベントにしたい」と意気込む。

 もう一つ、目標がある。あうんの事務所に、地域の人たちが気軽に交流できるカフェを併設することだ。「私自身ができることは限られるけれど、いろいろな人がつながって、可能性が増えていくような空間をつくれたら」。来年四月のプレオープンに向けて、きょうも力を注ぐ。 (天田優里)

<「あうん」> 引きこもりや失業者ら生活困窮者が出資し、仕事おこしに取り組む企業組合。他団体とともに主催する地域祭り「ひと・もの・くらし あらかわ再発見」は、30日午前10時〜午後3時開催。入場無料。問い合わせは、あうん=電03(5604)0873。

 

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