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【東京】

オペラへの熱い思い胸に 先月死去の鹿又透さん追悼 町田で来月公演

オペラ「愛の妙薬」に出演し歌う鹿又さん=2015年、町田市で(町田シティオペラ協会提供)

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 町田シティオペラ協会は十二月一日、町田市の和光大学ポプリホール鶴川でオペラ公演「フィガロの結婚」を催す。病魔と闘っていた創設者で理事長のバリトン歌手鹿又透(かのまたとおる)さん(56)が約一カ月前に死去した。最後の舞台と決め、主要キャストを務める予定だった。出演者らは追悼の思いを胸に演じる。 (松村裕子)

 鹿又さんは八王子市出身。国立音大大学院を修了後、イタリア・ミラノに留学し、帰国後に東京二期会などで活躍した。

 結婚後、町田市に居を構えた。当時、市内にオペラ団体はなく、二〇〇三年に「町田でオペラを広めたい」と夫婦で協会を設立。合唱団やオーケストラを組織し、賛助会員を含め二百人超の大所帯に育て上げた。

 三年半ほど前、大腸がんと告げられた。「練習を楽しみにしている人たちに心配をかけたくない」と周りには病を伏せ、闘病しながら地元合唱団などの指導を続けた。東京五輪・パラリンピックがある来夏に「世代や国境を超えた連帯をアピールしたい」と、幼児から高齢者までがベートーベンの交響曲第九番を合唱するコンサートを町田で開く計画も立てた。

 八月、市内で開催した第九のプレコンサートを指揮した。病状が悪化し、前日のリハーサルに参加できないほど弱っていたが、本番では舞台と客席を一体にしようと力を振り絞った。スタッフは「超人的だった」と振り返る。これが最後の舞台になった。

 鹿又さんは九月に病気を公表した。十二月のオペラ公演では監督を務め、当たり役のアルマビーバ伯爵役で出演する予定だったが、練習に参加することなく十月二十七日に亡くなった。

 料金を割安に設定し、舞台を間近に見られる小ホールで開催する十二月のオペラ公演。「敷居を低くして、市民に本物のオペラを気軽に楽しんでほしい」という思いを込めており、今回で七回目。

 今回は例年に増して国内トップクラスの声楽家がそろう。チケットは既に完売した。理事長を継いだ妻のソプラノ歌手松原有奈(ゆな)(本名・鹿又由菜)さん(52)は「余命を感じて企画した公演なので成功させたい」と話す。事務局長の竹尾信吉さん(74)は「協会をわが子のように育てた。町田は宝物を失ったが、活動を続けていきたい」と決意を語った。

公演に向け、けいこする声楽家ら=町田市で

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