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【東京】

手話でつながる夢舞台 世田谷の劇団、旗揚げ30年 ろう者と健聴者が共演

12月のライブに向けたきいろぐみの稽古=世田谷区で

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 歌に手話を付け、ろう者と健聴者が一緒にライブやミュージカルを行う劇団「手話パフォーマンスきいろぐみ」(世田谷区)が12月、1989年の旗揚げから30年を迎える。わずか3人で小さなライブハウスから始めた活動は、全国各地で年間50本もの舞台を行うまでに成長した。共生の「懸け橋」として、手話の普及に取り組み続けている。

 世田谷ボランティアセンターの会議室。「いろんな手話で〜遊ぼうよ〜♪」。健聴者が手でリズムを示すのを見ながら、ろう者が手話を交えて、はじけるような笑顔で踊る。十二月に武蔵野市吉祥寺で行うライブに向けた稽古の情景だ。

 「手話は、風景を目の前の空間に浮かび上がらせる特徴があります。聞こえない人たちが、手話で多くの聞こえる人たちを励まし、勇気づけ、夢を提供する立場になりたいと思って始めました」。代表で手話通訳士の南瑠霞さん(58)はそう語る。

 ライブでは、観客が手話にチャレンジする“参加型”にこだわる。「ろう者と健聴者とが通じ合えるための懸け橋として、より力を込めて続けていきます」

 メンバーは現在三十人余りで「手話が公用語」。演者二十人のうち、ろう者は十人で、外部の映画やテレビドラマに出演する機会も少しずつ増えてきたという。

 八年前に聴覚を失った演者の中嶋元美さん(25)は「手話は空間を使う言葉。途中で失聴した私こそが舞台に立ち、聞こえる人に手話を知ってもらいたい」。母親がろう者という健聴者のゆうたろうさん(19)は「きいろぐみは、手話を使う『二人目の自分』として居られる場所です。手話が浸透して便利な世の中につながればうれしい」と話す。

 ろう者を取り巻く社会環境は徐々に変わってきている。

 全日本ろうあ連盟(東京)によると、手話を言語と認めて普及を促す「手話言語条例」を二〇一三年に鳥取県が全国で初めて制定して以降、同様の条例が全国各地に波及している。

 ろう者の中には薬剤師やバスの運転士になる人もおり、職業の選択肢が増えている。

 「昔は手話を使うことが恥ずかしいと、見られないようにしていた人たちもいました。行政が条例を作るようになり、社会全体で手話への理解が深まって、ろう者の活躍の場がもっと広がってほしいです」。南さんは期待を込めて語った。

 ◇ 

 公演は十二月十三日午後七時、十四日午後一時と六時から「吉祥寺 ROCK JOINT GB」(武蔵野市吉祥寺本町2の13の14)。問い合わせは、手話パフォーマンスきいろぐみ=電03(3487)0752=へ。きいろぐみのホームページで、公演の詳細やチケット購入などを案内している。

 

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