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【東京】

働く2女性 重なる人生 練馬の美術館で石内都さん写真展

いわさきちひろさんのカーディガンと、撮影した石内都さん=練馬区のちひろ美術館で

写真

 群馬県桐生市出身の世界的写真家・石内都さん(72)の写真展「都とちひろ ふたりの女の物語」が練馬区下石神井の「ちひろ美術館・東京」で開かれている。石内さんの母藤倉都さん(一九一六〜二〇〇〇年)と、画家いわさきちひろさん(一九一八〜七四年)という二歳違いの女性のそれぞれの人生をカメラを通して見つめた企画展だ。来年一月三十一日まで。 (池田知之)

 主題となる「ふたりの女」のうちの一人、藤倉さんは現在の同県みどり市笠懸町生まれ。十八歳で大型二種免許を取得し、桐生市でタクシー運転手として勤めたほか、トラックやバスなども操った無名の女性。もう一人のいわさきさんは、福井県越前市生まれで東京育ちの有名な画家だ。

 二人は生前、つながりは全くなかったが、同世代で太平洋戦争を経験し、職業女性として生き、再婚相手は七歳年下などという共通点があった。

 「もともとはちひろをよく知らず、興味もなかった」と明かす石内さんだが、作品を制作する中で、「母親との重なりを発見して驚いた」という。

 展示作品は、石内さんの代表作で、藤倉さんの肌着や口紅などの遺品を撮った「Mother’s」二十七点と、長野県松川村の「安曇野ちひろ美術館」の館内で自然光の下、撮り下ろしたいわさきさんのワンピースや靴などの遺品「1974.chihiro」二十九点など。

 目を引く作品の一つは、毛玉がたくさん付いたいわさきさんのカーディガンだ。石内さんは「毛玉は時間の固まりと感じた」と表現する。

 いわさきさんの長男でちひろ美術館常任顧問の松本猛さん(68)は「作品の向こうから、肌のぬくもりを感じた。毛玉は母にまとわり付いた時間ですね」と話す。

 石内さんは一連の作品の制作を通じ、「二人の女から何かをいただいたように感じる。働いてきた二人の女の歴史はすごい」と話していた。

 ちひろ美術館・東京の休館日は月曜(祝日の場合は翌日休館)と年末年始(二十八日〜一月一日)。問い合わせは同館=電03(3995)0612=へ。

<いしうち・みやこ> 1947年桐生市生まれ。多摩美術大で染織を学ぶ。米軍基地の影響の残る神奈川県横須賀市の街を撮った「絶唱、横須賀ストーリー」が初期の代表作。79年に「アパートメント」で木村伊兵衛写真賞を女性で初めて受賞。2014年、世界的な業績をあげた写真家に贈られるハッセルブラッド国際写真賞を受賞した。原爆被爆者の遺品を撮った「ひろしま」、日本の絹をテーマにした「絹の夢」などの作品がある。石内都という名は、本名ではなくアーティスト名。母の結婚前の名前を使った。

 

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