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【東京】

孤立から犯罪… 高齢者を救う 都が電話「よろず相談」

相談に応じる社会福祉士の小林良子さん=豊島区で

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 孤立から万引などの犯罪に走りがちな高齢者を救うために都が設置した電話相談ダイヤル「高齢者よろず相談」。匿名で相談でき、対応する社会福祉士が支援団体や医療機関へ橋渡しする全国でも珍しい取り組みだ。予算の都合から今月27日で終わるが、担当者は「悩みを打ち明ける場所が必要」と続けていく意向を示している。

 「自分の中に怪物がすんでいるみたい。どうにもならない」。六十代女性が相談員に打ち明けた。約十年前から万引を繰り返し、逮捕も複数回経験。丁寧に聞き取ってもらい、依存症に関する説明を受けると、「初めて他人に話し、気が楽になった」と号泣した。

 別の女性は、八十代後半の母親の万引に悩んでいた。同居する弟が知れば、頭ごなしに母親を叱る恐れがあるという。相談員は認知症の可能性を指摘して医療機関の受診を勧め、「弟とは対処法とセットで情報共有を」と助言した。

 都によると、七〜十一月に寄せられた相談は八十八件。犯罪関連の内容は万引(三十二件)や傷害・暴行(二件)を含む三十九件で、体調などその他の相談が四十九件。相談者の半数以上が家族で、本人は約二割。認知症や病的に万引を繰り返す精神障害の「窃盗症」と疑われるケースが多く、地域包括支援センターや医療機関につなげた事例は十一件だった。

 二〇一八年の犯罪白書によると、刑法犯の検挙者のうち六十五歳以上の高齢者が占める割合は拡大傾向が続き、一七年は21・5%。七十歳以上の検挙者は62・6%が万引だった。高齢者の万引は再犯率が高いのも特徴と指摘している。

 都が一六年度に設置した有識者研究会で、孤立した高齢者の万引防止策の一つとして重要性が指摘されたのは、地域や周囲とのつながり。都は法務省の再犯防止推進モデル事業に応募し、昨年六月に一カ月間の電話相談を実施。七十三件の相談が寄せられ、本年度は期間を六カ月に延ばした。

 相談業務を担う社会福祉士の小林良子さん(62)は万引を「孤独と生活の破綻を訴えるSOS」と捉える。相談の中には認知症が疑われるのに診断を受けていなかったり、「一つくらい盗んでもいい」との倫理観のゆがみが見受けられたりするという。「孤立しているから誰も問題に気付かない。『おせっかい』の仕組みが必要」と指摘する。

 相談は無料。午前九時〜午後五時。電話番号は03(6907)0511。

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