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【東京】

<明日へ2020>(4)ゲーム音楽の地位向上へ 「ノイジークローク」社長・坂本英城さん(47)

「ゲーム音楽の地位を向上させたい」と語る坂本英城さん

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 テレビ番組やCMにも使われ、聞き覚えのある曲が増えてきたゲーム音楽。世界で千五百万本以上販売されたゲームソフト「大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL」の楽曲もその一つ。メインテーマを手掛けたのが、ゲーム音楽制作会社「ノイジークローク」(品川区)社長坂本英城さん(47)だ。

 羽生結弦選手がエキシビションで坂本さんの曲で滑走したり、作品が世界一長いゲーム音楽とギネス世界記録に認定されたり。米国や中国など海外からも注目を集める。

 二〇一四年に沖縄県でゲーム音楽の祭典「沖縄ゲームタクト」を開催し、一七年から大田区民ホール「アプリコ」(蒲田五)に舞台を移した「東京ゲームタクト」の音楽総監督でもある。昨年は二日間で約三千人が訪れた。

 足立区竹の塚出身。父はギタリストで母は歌手。四歳からピアノを弾き始め、小学生でモーツァルトにはまった。高学年になると映画音楽に興味を抱き、テレビゲームのメロディーに夢中に。当時のゲーム機の技術では同時に三つの音しか出ないのに、「音色の差を駆使するだけでクラシックのようにメロディー、ハーモニーを奏でるのがすごい」。鮮烈な感動を覚えた。

 坂本さんは早稲田大時代からパソコンでゲーム向けの音楽を作り始め、ゲーム会社にデモテープを送った。卒業後はフリーでゲーム音楽制作を続け、〇四年に起業し、その後、音楽出版社も設立した。

 「全て必要に迫られて。当時ゲームメーカーから作曲の依頼を受けるにはフリーよりも会社組織の方が受注しやすかった。ないがしろにされがちな著作権の問題を解決するために出版社を設立した」

 テレビゲーム草創期、ゲーム会社のプログラマーたちが音楽も担当した。最近は作曲家が手掛けることが増えたが、坂本さんによると、慣例として、ゲーム会社が著作権を所有する契約が多く、その場合作曲家本人でも自由に使えるものではないという。

 「ゲーム音楽を文化として後世に残したい。そのためには、多くの場面で利用してもらい、ゲーム音楽と作曲家両方の地位を上げることが大切だ」。ゲームタクトには、その思いも込められている。

 最近は映画音楽も手掛けるようになった。公開中のアニメ「妖怪学園Y 猫はHEROになれるか」と三十一日公開の「前田建設ファンタジー営業部」の楽曲を担当した。「ゲーム音楽の作曲家は、映画音楽も作れると証明したい」と坂本さん。そうした活動も、ゲーム音楽作曲家の知名度向上につなげたいという。

 会場の都合や著作権の問題などで、今年は東京ゲームタクト開催を見送る代わりに、民族楽器を使ったライブ活動をしつつ、来年以降のリニューアル開催を目指す。

 裾野を広げるために注目するのが、吹奏楽に打ち込む若者たち。人口は約百万人とされ、主な世代は中高生。ゲーム好きの層と重なる。「彼らが聴いて感動できる音楽を提供できたら、演奏する方もモチベーションが上がる。ゲーム音楽を多くの人が親しめるものにしたい」 (市川千晴)

坂本さんの代表作のCD=いずれも品川区で

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