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【東京】

「存在感薄れる」西の雄 八王子市長選 19日告示

地域に活気をもたらしている小津倶楽部の活動(同倶楽部提供)

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 十九日に市長選が告示され、二十六日の投開票に向けた選挙戦が始まる八王子市。多摩地域で最多の人口を抱え、都内初の中核市になって五年近くがたったが、「存在感が薄れている」という声が市民からも漏れる。市の現状と課題を探った。 (布施谷航)

 JR八王子駅から徒歩十分。明神町交差点前の東京地裁八王子支部の跡地で、民間病院の建設工事が進んでいる。支部は二〇〇九年、立川市に移転し「立川支部」に名を変えた。隣接していた東京地検八王子支部も立川に移った。

 「なんでよそに譲ったんだろう。市は何をやってるのかなって思います」。移転から十年近くたったが、近くに住む女性(75)は今も首をかしげる。

 八王子市は一九一七年、東京市に次いで都内で二番目に市制を施行した。現在の人口は約五十七万人で、市域の面積は奥多摩町に次ぐ都内二位。にぎわいのある中心市街地から、高尾山など自然豊かな観光資源までを擁し、「東京の西の雄」を自任する。

 だが、近年、施設の市外流出が相次いだ。二〇一〇年に台町の都立八王子小児病院が「都立小児総合医療センター」として府中市に移転した。一二年には駅ビルに入っていた百貨店「そごう」が撤退した。

 市都市戦略課の担当者は「市が食い止めることはできなかった」と振り返る。立川などの発展と比べ、相対的に八王子の存在感が低下している印象は否めない。市職員からは折に触れて「もっと存在感を示さなくては」との声が漏れる。

 市は現在、中核市として、国と都から、保健衛生や環境など千二百六十一の権限移譲を受け、独自のまちづくりを模索し続けている。成果が見えているのは、市街化調整区域の魅力再生事業だ。七つの中山間地域を「沿道集落地区」に指定し、移住者向けの住宅や小規模店舗を設置できるよう規制緩和した。

 新たな制度を受け、小津地区では住民らが一七年にNPO法人「小津倶楽部(くらぶ)」を設立した。空き家を活用したうどん打ち教室や、間伐材を使ったまき割り体験など、地域資源を生かした地域活性化策を進める。法人の前原教久代表理事は「中核市のおかげで活動の幅が広がった。市も地域に目を向けてくれるようになったのでは」と話す。

 とはいえ、人口が多く市域が広い分、地域ごとに文化や意識、課題は異なる。行政学が専門の首都大学東京の長野基(もとき)准教授は「中核市になっても、税源はセットで移譲されない。限られた財源の中で独自の施策を実現するには、これまでより具体的に将来像を描く必要がある」と指摘する。 

裁判所が移転し、跡地に建った八王子税務署。その裏では病院の建設工事も進む=八王子市で

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