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【東京】

<東京人>発酵万歳! 発酵和菓子、くず餅

亀戸天神前本店では、併設の喫茶ルームでくず餅をいただける(尾田信介撮影)

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 「くず餅」と聞いて思い浮かぶのは、透き通ってぷるんとしたもの? 乳白色で弾力があるもの? くず餅と呼ばれる和菓子は、実は二種類あります。前者は葛粉(くずこ)が原料で、関西でくず餅といえばこちら。後者は小麦粉が原料で、東京を中心に広まっています。この東京のくず餅、和菓子では珍しい発酵食品なのです。

 亀戸に本店を構える船橋屋は、江戸時代創業の老舗。「元祖くず餅」の暖簾(のれん)が掲げられています。亀戸天神でお茶菓子を売ったら参拝客に喜ばれるだろうと考えた初代が、小麦粉で菓子を作ったのが、船橋屋のくず餅の始まりです。

 それから二百年以上たった現在も、作り方はほぼ同じ。小麦粉を水で練って沈殿したでんぷんを取り出し、昔は木桶(きおけ)、今は板を張った貯蔵庫に入れ、約四百五十日間常温で熟成。木に土着している菌で発酵します。その後、水分を絞り洗浄、お湯で溶いて蒸せば完成です。木に土着しでんぷんを発酵させるのは、植物性ラクトバチルス乳酸菌。身体のコンディションを整え、健康や美容を維持することに適していると言われています。

 船橋屋の歴史の中では危機もありました。東京大空襲で店が焼失したのです。しかし、当時の当主が木樽(きだる)に水を張っていたおかげで、原料と菌は火災を逃れ生き残りました。

 四百五十日もの長時間をかけて作られるくず餅ですが、消費期限はたったの二日間。ぜいたくにも思えますが、そこは江戸時代からの庶民の味。気軽に楽しんではいかが。(大島佳子)

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 「都市を味わい、都市を批評し、都市を創る」をキャッチコピーに掲げる月刊誌「東京人」の編集部が、2月号の記事をもとに都内各地の情報をお届けします。問い合わせは、「東京人」編集部=電03(3237)1790(平日)=へ。

 

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