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【東京】

「認知症」接し方、分かりやすく 足立の劇団、寸劇が人気 

稽古中も明るい雰囲気で、笑顔が絶えない劇団「うめはる」=いずれも足立区で

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 認知症の人への接し方が分からない−。そんな人にも伝わるように、足立区の劇団「うめはる」が演じる寸劇が人気だ。劇団員は全員が六十五歳以上の高齢者で演劇の経験もほとんどないが、昨年四月の旗揚げから腕を磨き、活躍の場を広げている。 (大沢令)

 昨年十二月中旬、地域包括支援センター関原(関原二)の会議室。この日は次の舞台に備え、初めてのせりふ合わせで劇団員が集まった。「もう若くないんだからせりふが長すぎて覚えられないよ」。冗談交じりの愚痴も飛び出すが、笑い声は絶えない。

 活躍の場は、主に認知症サポーター養成講座だ。認知症の寸劇は「同じことを何度も聞く」「ご飯を食べていないと言い出す」「財布を盗まれたと言い出す」など七話で構成。夫婦役となった劇団員が「悪い例」と「いい例」を演じ分け、受講者は認知症の人とどう接したらいいかを考えながら学んでいく。

 最初はせりふが覚えられず、緊張で手が震えてしまう劇団員もいたが、月二回の稽古の成果もあってアドリブで会場の笑いを誘うまでになった。シルバー人材センターの研修会では百人を超える観客を前に披露し、「認知症の方への接し方がよく理解できた」「演技がうまかった」などと好評だったという。

 「座学の講義だけではなく、劇で分かりやすく伝えられないか」。認知症サポーター養成講座を開く支援センターの提案で劇団の構想がふくらみ、センターの体操教室に通う高齢者らが旗揚げに手を挙げた。現在の劇団員は十七人で、認知症の人もいる。区社会福祉協議会が地域の交流の場「ふれあいサロン」の一つとして支援する。

 団長で最高齢の鈴木新治さん(89)は「最初はまごつくこともあったが、ようやく板についてきた。認知症を理解してもらうために少しでも役に立てたら」と意欲的だ。

 劇団員の河野八千代さん(73)は「認知症の方への声掛けも尻込みしないで、自然に振る舞えるようになった。せりふや演技を覚えることで自分の脳トレにも役立つ」と笑顔を見せた。

 シナリオを担当する同社協職員の川島美穂さん(27)は「認知症の人が住み慣れた場所で暮らしていけるように、家族や地域の支えや見守ることの大切さを伝えていきたい」と話した。認知症の高齢者が被害に巻き込まれないように、消費者詐欺をテーマとした寸劇にも挑戦したいという。

 二月一日には「エル・ソフィア」(梅田七)にある梅田地域学習センターで開く医療や介護など終末期の人生を考えるイベント「人生会議とは」に出演予定。

昨年8月、地元のふれあいサロン「梅田クラブ」納涼祭で披露した寸劇の一場面(地域包括支援センター関原提供)

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