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【東京】

<ひと ゆめ みらい>農家と消費者をつなぐ ロゴなど手掛ける「農業デザイナー」南部良太さん(35)

農家の野菜とデザインしたリーフレットなどを手にする南部さん=国分寺市で

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 デザイン界の中で農業を専門にしているのが「農業デザイナー」。農作物のパッケージやロゴマークなどを手掛け「デザインを通して、農業の魅力を感じてもらえれば」と話す。

 宮崎県出身。二十三歳で都内のデザイナー学校を卒業後、デザイン会社に勤めた。企業のパンフレットや商品PRのデザインを担当したが、二〇一一年の東日本大震災で意識が変わった。

 都内の自宅周辺では、店舗から食料品が消えた。周囲に頼れる知り合いはなく、東京電力福島第一原発事故もあって不安が募った。「生活の場で分かり合える人たちがいる暮らしをしたい」との思いを強めた。

 一二年に長男が生まれ、新たな生活の場を探して出合ったのが、畑に囲まれた国分寺市内の家。「空が広く、深呼吸ができる。ほっとできる」と居を構えた。

 しかし周辺の畑は宅地に変わっていった。自分にできることはないかと考え「デザインで農家さんのモチベーションを上げたり、農業の価値を広めたい」と思うようになり、市内の農家の農業体験に参加。

 農作物のパッケージとロゴをデザインさせてもらうと、出荷した野菜の売り上げが伸びた。農家は喜び、消費者に魅力が伝わったと感じた。従来の仕事で「受け手の顔が見えない」と物足りなさを覚えていたこともあり、一四年に退社してフリーランスに。

 同年、国分寺市が地元産の野菜とメニューをPRするため、農家や飲食店と立ち上げた事業「こくベジ」に参加。デザインの傍ら、飲食店に野菜を配達する。農家と親交を深め、大根のお裾分けをもらったりする仲になった。さらに昨年、市内の農家が農業の魅力を発信しようと港区に設けた「東京農村ビル」内でシェアキッチンの運営をする一般社団法人「M・U・R・A・」の二代目の代表理事に就いた。「食や生産者の思いを大切にした新しいビジネスを生み出したい」と語る。

 農作物のパッケージやロゴのデザインなど、農家がなかなか手が回らない部分をカバーし、感謝されている。活躍の舞台は広がっているが「お金だけじゃなくて、大変になったときは、ご近所でお互いさまと協力しながら暮らせる関係がある。周りの人が活動の原動力になっています」 (竹谷直子)

     ◇

 東京農村ビルの所在地は港区赤坂3。国分寺市の「中村農園」が市内の区画整理の際、所有していた農地の代替として得た土地を活用し、2018年6月にオープンした。複合ビルで、飲食店や室内菜園ができるスペースもある。東京の農業を応援する交流拠点として機能することを目指している。

 

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