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【東京】

<東京人>発酵万歳! 引き継がれる伝統製法

青梅市の霞川沿いの空き地に干された大根。寒干し大根がずらりと並ぶ光景は、このあたりの冬の風物詩となっている(尾田信介撮影)

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 青梅市で三百年以上前から農業と林業を営み、昭和十三(一九三八)年から漬物の製造を始めたタマ食品の若林正樹社長が、後世に伝えたいと心を込めて作っているのが寒干し沢庵(たくあん)漬けの「田舎たくあん」です。大根に米ぬかと塩だけで、手作業で漬け込んでいます。

 寒風が吹き始めたころに訪れると、若林社長は霞川沿いの空き地で大根の天日干しをしていました。大根は漬物に適した秋まさりという練馬大根の系列で、川風に当てて一週間から十日ほどかけて馬てい形に曲がるまで干します。川沿いのみごとな紅葉と大根干しもまた、残ってほしい青梅の風物詩です。

 干し上がった大根は桶(おけ)に並べ、米ぬかと塩をバランス良く混ぜたものをふります。その工程を繰り返し、樽(たる)の一番上は米ぬかをたっぷりと載せてふたをして約半年そのままじっと乳酸発酵が進むのを待ちます。大事なのは発酵を止めるタイミング。匂いを確かめながら決めます。東京農業大で応用微生物学を専攻した若林社長は、「発酵をするのはあくまでも微生物なので、天気や気温と発酵の塩梅(あんばい)を見ながらやっていくしかない」と話します。

 出来上がったたくあんは、米ぬかや大根の糖分の作用で芯まで黄色に染まっています。味はとても清らか。きれいな酸味があり、後味がすっきりしています。これまで一人でやってきた作業を今期は息子さんと一緒に行いました。若林社長が父から受け継いだ伝統製法のバトンが次の世代へと渡されたのです。 (金丸裕子)

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 「都市を味わい、都市を批評し、都市を創る」をキャッチコピーに掲げる月刊誌「東京人」の編集部が、2月号の記事をもとに都内各地の情報をお届けします。問い合わせは、「東京人」編集部=電03(3237)1790(平日)=へ。

 

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