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【東京】

<ひと ゆめ みらい>中川に接する長門南部町会長 今坂昭男さん(79)=足立区

中川沿いの堤防で、水害への備えの大切さを語る今坂さん=足立区で

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 東京湾に注ぐ一級河川の中川に接し、一九四七年のカスリーン台風では浸水被害に見舞われた。足立区最東部の中川地区でその歴史を刻む長門南部町会は、水害への備えに熱心に取り組む町会の一つだ。水害の脅威から地域の住民を守る覚悟でその先頭に立つ。 

 記録的な大雨をもたらす台風19号の接近が迫っていた昨年十月九日。「役所の指示を待っていては遅い」と危機感を抱き、地区の水害対策にかかわる気象専門家に相談して翌十日、緊急対策会議を招集した。

 「経験したことのない大雨と暴風になる可能性がある」。専門家がその場で警鐘を鳴らすと、町会、自治会や避難所となる学校などの関係者は迅速に動いた。中川氾濫を想定して関係地区で事前に作成していたコミュニティ・タイムラインに従い、その日のうちに住民に台風への警戒を呼び掛けた。区が災害対策本部を設置する一日前のことだ。

 カスリーン台風では、中川沿いの妻の実家も約二メートル浸水した。二〇一五年の関東・東北豪雨では氾濫危険水位に達した。中川に近い地区で水害の脅威に向き合う覚悟を決め、水害対策委員会の発足や代表委員としてコミュニティ・タイムラインの作成にかかわった。

 東京五論があった一九六四年に結婚、妻の実家近くに移り住んだ。信用金庫に勤務し、都内などで支店長も務めた。約六年前に町会長に就くと、持ち前の行動力と交渉力で集合住宅の建築現場まで足を運び、管理会社に町会への加入を口説いた。直近の町会加入率は約85%で、区内平均の約51%を大幅に上回る。「顔の見える関係がいざという時に役立つ」と信じて疑わない。

 町会役員として招かれる席があると、水害に見舞われた歴史と教訓をよく話題にしている。町会独自の水害対策委員会も設け、きめ細かいコミュニティ・タイムラインをつくった。住民自ら水害に備える覚悟と意識を持つためだという。

 台風19号では区内で約三万三千人が避難したが、避難所運営では区職員のマンパワー不足などの課題も露呈した。当事者として水害と向き合い、避難などその備えに住民自ら主体的に動く町会の取り組みは、全国でも注目されている。

 次の台風シーズンが迫っている。荒川氾濫に備えてコミュニティ・タイムライン作成の準備も進める。「高齢者や障害者などの要支援者を最優先で守りたい」と気を引き締める。 (大沢令)

  ◇

 コミュニティ・タイムラインは、風水害の予報や河川水位情報などをもとに避難のタイミングや取るべき防災行動を地域で話し合い、いつ、だれが、何をするかを定めた行動計画。長門南部町会などがある中川地区は中川氾濫に備え、2年前に作成した。

 

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