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【東京】

特定秘密保護法テーマ「それは秘密です。」再演 座・高円寺で30日まで

作・演出を担当する楢原拓さん。特定秘密保護法を題材にした作品にちなみ、公演のチラシの大部分が黒塗りになっている=杉並区で

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 特定秘密保護法をテーマにした劇団チャリT企画(新宿区)の公演「それは秘密です。」が「座・高円寺」(杉並区)で上演されている。国家が国民に「秘密」を貫き、説明しないことがまかり通る社会のありようを問う作品だ。2014年の初演以来の再演。作・演出を担当する楢原拓さん(46)は「現実の社会がこの作品に近づいてきているのではないか」と話す。 (松尾博史)

 ある日、お笑い芸人の男が警察に逮捕される。逮捕の理由は「秘密」で、男に思い当たることはない。釈放させるために、芸人仲間らが逮捕の理由の手掛かりを探し回ると、どうやら自衛隊の海外での活動に関する「秘密」が関係しているらしい−というストーリー。

 コメディーを基調としつつも「秘密」がまかり通る社会の理不尽さや、法制度が出来上がってしまうと、不条理なルールであっても個人ではあらがうことが難しい現実を描く。

 楢原さんが主宰する同劇団は一九九八年、早稲田大の演劇サークル「演劇研究会」のメンバーを中心に結成。裁判員制度、共謀罪など時事ネタや社会問題を題材にした作品を上演してきた。

 二〇一三年十二月に成立し、その一年後に施行された特定秘密保護法は、公務員らの機密漏えいに厳罰を科す。公務員の内部告発に加え、報道機関や市民運動の情報収集を萎縮させるといった批判が根強い。

 楢原さんは「権力者によって恣意(しい)的な運用がされるのではないか」といった懸念などから本作品を書き、施行前の一四年夏に都内で初演。好評だったため、二年ほど前に再演を決めていたが、本番が近づくにつれ、創作時の懸念が現実化した。首相主催の「桜を見る会」を巡る公文書の管理などを踏まえ、楢原さんは「初演のころより、情報への意識や取り扱いがずさんな状況が多くなっているのでは」と指摘する。

 台本は基本的に初演と同じ。ただ、最終盤のせりふは書き直し、社会に漂う「忘れっぽさ、無関心さ」を問題提起している。楢原さんは「いまの日本の状況を感じてもらえたら。芝居は主義主張を表に出すよりも、人間を描くもの。右往左往したり、葛藤したりする人間の姿を感じてほしい」と話す。

 残りの公演は一月二十八日(午後七時)、二十九日(午後二時、同七時)、三十日(午後二時)の計四回。一般三千八百円、学生二千五百円など。問い合わせは、同劇団=電070(6450)4167=へ。

「それは秘密です。」の一場面。逮捕された芸人(中)が刑事の取り調べを受ける(劇団チャリT企画提供、撮影:鈴木淳氏)

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