東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 東京情報 > 学ぶ・知る > 親子でぶらり 学べるスポット > 記事

ここから本文

【親子でぶらり 学べるスポット】

青山百人町(東京都港区) 「名所百景」だった星灯篭

大山道(現青山通り)をはさんで鉄砲隊百人組与力・同心たちの屋敷が並んでいた=東京都港区で

写真

 「百人町」は新宿区に地名が残っているが、江戸時代にはほかにも「青山百人町」(現在の港区)や「根来(ねごろ)百人町」(新宿区)があった。百人町は鉄砲隊の百人組に由来する。かつて青山百人町と呼ばれた辺りはいま、モダンなビル街だ。

 徳川家に仕えた三河譜代・青山忠成は家康から広大な屋敷地を拝領した。「青山」と呼ばれたその一部に、配下の鉄砲隊百人組の与力・同心を住まわせた。大山道(現青山通り)に面して間口が狭く、細長い短冊状の敷地が並んでいた。

 同心といえば三十俵二人扶持(ぶち)程度の低い俸禄(ほうろく)が相場。百人町は武士の内職でも知られる。大久保の百人町なら「つつじ」、根来なら「提灯(ちょうちん)」、青山の場合は「傘の張り替え」だった。そんな苦しい生計(たつき)のなかでも青山の同心たちは夏(旧暦7月)の宵、敷地に長い竿(さお)を立て、その先に紅の盆灯篭(どうろう)を掲げた。

 2代将軍秀忠の菩提(ぼだい)を弔うために始まったという。遠くから見れば星がきらめくようで、百人町の星灯篭、星提灯などと呼ばれた。歌川広重(2代)が「諸国名所百景」にこの光景を描いている。7代将軍家継が眺めて称賛した逸話も伝わる。

 明治期以降、百人町の住人も散りぢりになったのだろう。星灯篭も途絶えた。だが近年、これを復活させようという“灯(あか)り”がともった。表参道交差点に近い書店「山陽堂」取締役の遠山秀子さん(59)ら地元の有志による「青山星灯篭甦生(そせい)プログラム」だ。昨年7月、6メートルほどの星灯篭7竿を善光寺門前に立てた。「青山の風物詩として星灯篭をよみがえらせ、そこから新たな何かを発信し続けていけたら」と遠山さん。 (小鷲正勝)

◆ひとこと

 遠山さんは「山手大空襲(1945年5月25日)で、この辺りでもたくさんの人が命を落としました。星灯篭はその供養でもあります。根底にあるのは鎮魂です」と語る。

写真

 ★メモ 東京都港区南青山3、5丁目、北青山3丁目ほか。東京メトロ表参道駅下車。善光寺の東側と向かい側一帯に百人組の家屋が並んでいた。旧大山道の青山通りは拡幅されているので、かつての家々の間口は同通り内にあったのではないか。

●足を延ばせば…

 ★高野長英終焉(しゅうえん)の地 港区南青山5の6の23。表参道駅徒歩2分。高野長英は蘭学者で医師。「戊戌(ぼじゅつ)夢物語」などで幕府を批判。蛮社の獄で投獄された。火災に乗じ脱獄。各地を転々として江戸に舞い戻り、青山百人町に隠れ住んだが、幕吏に襲われて死亡した。今は複合文化施設「スパイラル」の外壁に埋め込まれるように「高野長英先生隠れ家」の碑がある。

 ★根津美術館 港区南青山6の5の1。表参道駅から徒歩10分。実業家・初代根津嘉一郎のコレクションを保存・展示。現在の所蔵作品は7420件(国宝7件を含む)。入館料・特別展一般1300円、高校生以上1000円、企画展一般1100円、高校生以上800円、ともに小中学生無料。開館10〜17時。原則月曜休館。(電)03・3400・2536

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報