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【親子でぶらり 学べるスポット】

願成就院(静岡県伊豆の国市) 運慶の御仏と向き合う

運慶作の諸像(国宝)。左から不動明王立像、阿弥陀如来坐像、毘沙門天立像

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 願成就(がんじょうじゅ)院は鎌倉幕府の立役者・北条時政が本貫の地・伊豆の韮山(静岡県伊豆の国市)に1189年、氏寺として建立した。同院の大御堂(おおみどう)を訪ねれば、運慶作の御仏(みほとけ)と対面できる。

 正面に本尊の阿弥陀如来(あみだにょらい)が座す。その左に不動明王(ふどうみょうおう)が矜羯羅童子(こんがらどうじ)と制〓迦童子(せいたかどうじ)をしたがえ、右には毘沙門天(びしゃもんてん)が2匹の邪鬼を踏みつけてそれぞれすっくと立っている。これらが東国、さらには日本の造像にとって画期を成したという。小崎弘慶副住職がこう語る。

 「京や奈良の仏師たちは貴族のために仏像を彫ってきました。興福寺の仏師だった運慶は武家社会が始まるなかで、時政の依頼を受けて初めて東国で武士のために彫ったのです」

 体躯(たいく)が力強く、衣文(えもん)を深く彫るなど写実性に富み、当時の武士の気風に合致。運慶様式とか鎌倉様式といわれる。運慶の名声は高まり、幕府の初代侍所別当・和田義盛も浄楽寺(じょうらくじ)(神奈川県横須賀市)に造仏を依頼。阿弥陀三尊像と不動明王像、毘沙門天像を制作している。

 願成就院の仏像がいまに伝わったのは奇跡といわれる。戦国時代初期、堀越公方家の足利茶々丸(ちゃちゃまる)が北条早雲に攻められ、同院に逃げ込んだため兵火にさらされたという。豊臣秀吉による小田原征伐では韮山城が攻撃を受けた折に全焼した。僧たちはよくぞ諸像を守り通したものだ。ただ、阿弥陀如来の光背と台座は失われ、説法印(せっぽういん)の指先が破損しているのが痛々しい。

 この5体が2013年、国宝に指定された(五体一括)。胎内から発見された銘札で運慶作との確証が得られ、制作開始年が明らかになったことも大きい。おだやかな春のひととき、御仏とともにたたずみ、語らってみてはいかがか。 (小鷲正勝)

◆ひとこと

 願成就院では阿弥陀如来坐像の光背・台座復興事業を進めており「2022年3月末までに1期事業が完成します」と副住職。光背の二重円相と蓮華(れんげ)座を蘇(よみがえ)らせるという。

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 ★メモ 静岡県伊豆の国市寺家83の1、伊豆箱根鉄道韮山駅、伊豆長岡駅からいずれも徒歩15分。大御堂の拝観は原則10〜16時。休館は原則毎週火、水曜日(祝日の場合は開館)。拝観料大人500円、中高生300円、小学生150円。静岡デスティネーションキャンペーン(4月1日〜6月30日)に伴い拝観を18時半まで特別延長する日も設ける。(電)055・949・7676

●足を延ばせば…

 ★江川邸 伊豆の国市韮山韮山1、伊豆箱根鉄道韮山駅から徒歩20分。世襲で代官を務めた江川家の住居。韮山反射炉の生みの親・英龍(坦庵)が出た。主屋は単層入り母屋造りで、幾何学的な屋根裏の木組みは「小屋組づくり」と呼ばれ、免震構造になっていた。国指定の重要文化財。開館は9時〜16時半。入館料は大人500円、小中学生300円。休館日は原則第3水曜日。(電)055・940・2200

 ★蛭(ひる)ケ島公園 伊豆の国市四日町17の1、韮山駅から徒歩9分。源頼朝が平治の乱に敗れて配流された地。蛭ケ小島ともいい、14歳から挙兵するまでの20年ほどを過ごした。妻となる北条政子がいた北条館からは、約1.5キロ離れていた。夫婦の像が立つ。(電)055・949・5582(蛭ケ島茶屋)

※〓は托のへんが口

 

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