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【親子でぶらり 学べるスポット】

安房勝山(千葉県鋸南町) 江戸時代 東京湾の捕鯨の拠点

大黒山から勝山漁港を見下ろす。鯨の様子を観察し、漁船に知らせた=千葉県鋸南町で

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 日本の捕鯨といえば、和歌山・太地のものと思っていたが、江戸時代には、東京湾でも捕鯨が行われていた。その拠点が安房勝山(千葉県鋸南町)だ。

 JR内房線の駅から歩き、海岸に面した大黒山に登った。林を抜け、息を切らせてたどりついた頂上からは、足もとの漁港から、はるかかなたの山並みまで見渡せる。標高わずか75メートルだけれども、周囲にさえぎるものがなく、見晴らしは抜群だ。ここは鯨の情報を手旗で船に知らせる「鯨見」の場所でもあった。

 鋸南町商工会の伊藤聖二さんは「黒潮の分流に乗って、勝山沖に鯨が入り込んで来たのです。当時は、醍醐新兵衛という代々の元締のもとに、近隣の村々から漁師が集まり、数十隻の船で、組織的な捕鯨をしていたのです」と話す。

 漁期は6月から8月で、体長10メートルほどのツチクジラを捕った。近づいてモリを投げ、とどめを刺してから、2隻の船ではさむようにして、岸まで引いてくる。入港のとき漁師たちは、船べりをたたき、鯨唄を歌う。勇壮にして危険な漁だった。

 今捕鯨の資料は、勝山ではほとんど見ることができず、醍醐新兵衛の墓や、鯨の供養碑「鯨塚」などで、昔をしのぶくらいだ。だが食文化はしっかり伝えられ、夏には近海でとれたツチクジラが店で売られ、食卓にも上るという。鯨唄の保存会もあって、栄華を伝えている。

 漁港北側には勝山海水浴場の砂浜が延び、その北端に「源頼朝上陸地」の碑がある。石橋山の戦い(神奈川県)で敗れた頼朝は、敗走して海を渡り、再起の起点とした。勝山は小さな町ではあるが、目の前の東京湾を通じて広い世界とつながっている。 (吉田薫)

◆ひとこと

 「7月14日には祭礼があり、景行天皇をおまつりした神社のある浮島を、船が周回します。捕鯨でにぎわった時代を思い返していただければ」(伊藤さん)

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 ★メモ 安房勝山へはJR内房線で東京から約2時間。途中の君津まで特急利用もできる。東京、品川、横浜から高速バスで木更津や君津まで行き、内房線に乗り換えるルートもある。久里浜−金谷の東京湾フェリーも使える。JR浜金谷駅から安房勝山駅までは8分。大黒山展望台は駅から徒歩15分。駅前観光案内所(電)0470・55・0115

●足を延ばせば…

 ★菱川師宣記念館 鋸南町吉浜516。JR内房線保田駅から徒歩約15分。「見返り美人図」で知られる浮世絵の祖、菱川師宣はこの地で生まれた。記念館では師宣の生涯を紹介し作品を展示する。開館9〜17時。原則月曜休館。入館料一般500円、小中高生400円。(電)0470・55・4061

 ★鋸山(のこぎりやま)と日本寺 JR内房線浜金谷駅から徒歩約8分(ロープウエーまで)。富津市と鋸南町にまたがり、切り立った岩肌が特徴。標高329メートル。ロープウエーが、JR浜金谷駅に近い山麓駅から山頂まで4分で結ぶ。大人片道500円、6歳以上同250円。山頂からは絶景が楽しめ「地獄のぞき」の名所も。日本寺には石大仏や百尺観音がある。拝観料一般600円。(電)0439・69・2314鋸山ロープウェー

 

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