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【国際】

やまぬ性暴力 被害者泣くだけ コンゴ 平和賞ムクウェゲさん地元ルポ

コンゴ・ブカブで7日、デニ・ムクウェゲ氏が活動する病院の中庭。医師や看護師が忙しそうに動き回っていた=共同

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 性暴力を誇らしげに語る兵士らに罪の意識はない。被害者の女性は人知れず涙を流す。紛争下のコンゴ(旧ザイール)東部。女性たちの治療に尽力する産婦人科医デニ・ムクウェゲ氏(63)のノーベル平和賞受賞が、決まった。だが、レアメタル(希少金属)が豊富なこの地域で戦闘は続き、性暴力がやむ兆しはない。

 昨年七月、東部ブカブ郊外の山中。夕闇が迫る中、主婦ノエルさん(40)は露店で売る豆を市場で仕入れ、約三十人の女性と雑談をしながら家を目指していた。「止まれ。逃げたら殺す」。反政府勢力の民兵がやぶの中から大勢現れた。男二人から三十分以上暴行を受けた。男たちは無言だった。

 紛争の背景には、コンゴの鉱物資源を欲しがる外国企業の存在がある。「欧州や中国の企業が、反政府勢力に膨大な金を払い採掘している」。貿易に携わり、ベンツを乗り回す隣国ルワンダ人の三十代の男性が証言した。

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 ノーベル平和賞受賞が決まったムクウェゲ医師の病院があるコンゴ東部ブカブ。地元の女性保護団体の施設で取材に応じた性暴行被害者のノエルさんが声を振り絞った。「大量出血したということ以外は何も覚えていない」。犯人は見つかっていない。

 農村は保守的で暴行された女性は「汚れている」と追い出されることが多い。ノエルさんも「夫や子どもには怖くて打ち明けていない」という。

9日、コンゴ・ブカブ郊外にある女性保護団体の施設で、性被害の体験を語るノエルさん=共同

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 今も歩くと下半身が痛み激しい動悸(どうき)や頭痛に襲われる。お金がなく病院に行けない。「私はもう死んでしまう」と涙を流した。

 「なぜレイプしたかだって? 気持ちがいいからだ」。ブカブ郊外の農村。廃材が積まれた倉庫で反政府勢力の元民兵(48)が記者の問いに悪びれることなく笑った。「村々を通るたびに襲撃し女を探した。二十人以上暴行した」と話した。

 約二百人の部隊の中堅幹部。恐怖心をなくすため、政府軍との戦闘のたびに薬物を自分に注射した。

 泣いて抵抗する女性を銃やなたを持った部下が囲んだ。女性の夫や親は「(抵抗できず)見ているだけだった」という。視点が定まらない目で淡々と話した。

 腐敗した現政権を追放するため反政府勢力に加わったと語る元民兵。だが、政府軍との戦闘は「実際は鉱山を奪い合う争いだった」と振り返る。

 欧米や日本のメーカーを中心に近年、紛争に絡む鉱物が自社製品に使われていないことを証明し消費者に公表する動きが進む。しかし、レアメタル貿易に携わる男性は「コンゴは無法地帯だ。政府の書類偽造が横行し『クリーンな資源』として世界中に輸出されている」と語った。 (ブカブ・共同)

 

 

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