東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 国際 > 紙面から > 2月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【国際】

ウイグル収容所の証言 中国化強要 24時間尋問、全裸検査

トルコ・イスタンブールで1月下旬、同室だった女性たちの名簿を見せながら収容生活の実態を証言するギュルバハール・ジャリロアさん

写真

 中国・新疆ウイグル自治区に住む少数民族ウイグル族などが弾圧されているとされる問題で、昨年九月まで中国政府によるイスラム教徒の「再教育施設」に入れられていた女性が、一年以上続いた収容生活を証言した。二十四時間続く過酷な尋問に、「手足を縛られて寝た」という劣悪な環境など「中国化」を強要された実態を訴えた。 (トルコ・イスタンブールで、奥田哲平、写真も)

 女性はカザフスタン人のウイグル族、ギュルバハール・ジャリロアさん(54)。カザフとウイグル自治区との間で洋服を貿易する事業を営んでいた二〇一七年五月、友人からの電話で「商品が届いたから来てほしい」と言われて区都ウルムチを訪ね、突然治安機関に拘束された。身に覚えのない「テロ活動支援」が容疑だった。

写真

 弁護士の要求を拒否され、裁判もないまま一年三カ月にわたり再教育施設に収容された。窓のない部屋は幅三メートルに奥行き七メートル、壁は高さ六メートルほどで、四十人ほどの女性が詰め込まれた。全員が横になれず、夜は交代で就寝。私語は禁止され、見つかると手足を縛られた。週に一度検査と称して全裸にされ、「ドアの外から男性監視員が見ていた。屈辱だった」。粗末な食事で体重は九キロ減った。

 特に三カ月に一度の割合で呼び出された尋問は、水も与えられずに二十四時間続いた。失神すると、手を針で刺された。収容者は定期的に注射を打たれ、「頭がボーッとした」と鎮静剤が投与されたのではと疑う。

 部屋のテレビでは習近平国家主席の演説が流され、中国共産党の歌を合唱させられた。ウイグル語の読み書きができないジャリロアさんは書かなかったが、ほかの女性たちは「政府と党に感謝する」などとする反省文を繰り返し書かされたという。

写真

 国際人権団体によると、こうした再教育施設は二〇一七年以来建設が進められ、百万人以上が収容されている。一方、中国政府は昨年十月、イスラム過激思想の除去を理由に「職業技能教育訓練センター」を設置しているとして再教育施設を正当化。中国語や職業訓練、思想教育の機会を与えていると主張している。

 昨年九月に無罪として釈放され、カザフスタンに帰国したジャリロアさん。しかしその後、「何も話すな」と匿名の脅迫電話を受け、家族を残してトルコ・イスタンブールに逃れた。

 彼女の手元には、出所後に同房だった女性の名前と年齢、拘束理由を書き留めたリストがある。寝静まった頃にひそかに会話を交わした十四〜八十歳の約二百人分だ。拘束理由は「ウイグルの歌を携帯電話に入れていた」などで、ジャリロアさんは「ただの民族浄化だ」と憤る。「収容所で何が起きているか、彼女たちの声を世界に届ける責任がある」と無実の仲間を救いたいと訴える彼女の元には、在外ウイグル族から家族の消息を問う電話が寄せられるという。

 <ウイグル族問題>中国の新疆ウイグル自治区にはトルコ系ウイグル族はじめイスラム教徒が多数居住。中華民国時代には「東トルキスタン・イスラム共和国」として独立を宣言した時期もあったが、中国共産党政権になった1949年に人民解放軍が進駐し自治区となった。2009年には区都ウルムチで中国政府の政策に反発して大規模騒乱が発生。一部の過激派は国際テロ組織アルカイダとの関係が指摘されている。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報