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【国際】

IS参加の英女性「母国に戻りたい」 難色示す英政府、世論調査「拒否」7割

 【ロンドン=藤沢有哉】過激派組織「イスラム国」(IS)に加わるため、高校生だった4年前に英国からシリアへ渡ったシャミマ・ベグムさん(19)の生存が確認された。ベグムさんは英紙の取材に妊娠中であることを明かし、17日には家族らが相談する弁護士が男児の出産を発表。ただ、ベグムさんに対し、英政府には厳しい意見が目立つ。

 「英国に戻って、子どもと静かに暮らしたい」

 英紙タイムズは十三日から連日、ベグムさんの願いを伝えている。今はシリア東部の難民キャンプで暮らすベグムさんは二〇一五年二月、同じ高校の女子生徒二人とシリアへ渡り、ISのオランダ人戦闘員と結婚。シリア各地を転々とし、二人の子どもを病気などで失った。

 今年一月にISから逃げ出したという。

 ベグムさんは取材に「ごみ箱で斬首された頭部を見てもひるまなかった」という経験を語ったが、「シリアに来たことに後悔はない」と強調。ISについては「圧政と腐敗がひどかった」と述べた。「二人の子のように死んでしまうことが怖い」と医療、生活面の不安などから帰国を望み、家族らの弁護士は、ベグムさんと直接連絡が取れていないとしつつ「彼女は出産し、母子ともに健康のようだ」との家族の声明を公表した。

 一方、英政府は難色を示す。ジャビド内相は同紙に「海外でテロ組織を支援した人物に対しては、私はためらわずに帰国を防ぐ」と述べ、市民権剥奪などの手段を例示。秘密情報部(MI6)のヤンガー長官は「英国人には帰国する権利はある」としつつ、「(帰国後は)調査され、訴追されるかもしれないことを予期すべきだ」と語った。

 政府は現地へ人員を派遣する可能性も否定し、ウォレス治安担当閣外相は英BBCラジオで「一般市民でシリアへ行った人らも今や、テロリストか支援者だ」と、テロ組織の感化への懸念も示した。

 英国では一七年、ISが犯行声明を出すテロが続発。中部マンチェスターのコンサート会場での自爆テロでは二十二人が犠牲になった。そんな過去もあって、市民も慎重だ。

 世論調査会社ユーガブによると、十五日に調査した四千七百七十二人のうち「帰国を許されるべきだ」と答えたのはわずか13%。「許されるべきではない」の73%が圧倒した。

<「イスラム国」(IS)への参加> 英ロンドン大キングス・カレッジの過激化・政治暴力研究国際センター(ICSR)の推計によると、2013年4月〜18年6月の期間で、80カ国の計約4万1500人が、シリアかイランのISに加わった。うち英出身者は850人で、半数ほどは既に帰国。英BBC放送への内務省の説明によると、大半は現地の紛争の初期に帰国しており、帰国者のほとんどが情報機関の調査を受けた。

 

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