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【国際】

チベット動乱60年 中国、統制強化緩めず

 チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ十四世の亡命のきっかけとなった一九五九年の「チベット動乱」から十日で六十年となった。中国の習近平(しゅうきんぺい)指導部はチベット自治区の経済的繁栄をアピールする一方で、監視と統制の強化でチベット族の不満を抑え込んできた。ダライ・ラマを中国からの独立を狙う「分裂主義者」と敵視、亡命政府との対話に応じる気配はない。  (バンコク支局・北川成史、上海支局・浅井正智)

 チベット亡命政府があるインド北部ダラムサラでは十日、チベット動乱六十年の式典が開かれ、中国政府による長年の弾圧に抗議し、犠牲者を追悼した。

 ロブサン・センゲ首相は声明で「六十年以上、中国政府はチベット人の人権を否定し、言語や文化への弾圧を続けてきた」と批判。「中国政府は、時がたてばチベット問題は消えると思い込んでいるが、私たちは半世紀以上の経験から、それが間違いだと確信している」と強調した。ダライ・ラマは出席しなかった。

 亡命政府はチベットの独立ではなく「高度な自治」を中国側に求め、対話を呼び掛けている。二〇〇二〜一〇年の間には、双方が断続的に接触して信頼醸成の兆しもあったが、習近平指導部は対話に応じる構えを見せていない。

 中国政府がチベット支配を正当化する最大の根拠は経済的な成功だ。

 六日、北京で開かれている全国人民代表大会のチベット自治区分科会では、昨年の域内総生産が前年比9・1%増と全国平均6・6%を大きく上回り「全国の先頭を走った」と報告された。自治区トップの呉英傑(ごえいけつ)共産党委員会書記は「ダライは逃亡以降、チベットのためにいいことをしたことがない。チベットの人民は党がもたらした幸福な生活に感謝している」と強調した。

 中国政府は豊かさのアメをチベット地域に与える一方、〇八年三月に起きた大規模暴動などを弾圧。共産党の統治に抗議し、焼身自殺したチベット族は百五十三人に上る。

 インドのネットメディア「プリント」は先月、チベット族居住地域で少なくとも三つの「再教育キャンプ」が建設中と報じ、衛星写真を公開した。「党の支配に従わないチベット仏教僧の再教育」が目的とされ、新疆ウイグル自治区と同様の施設を建設している可能性がある。

 亡命政府関係者は「中国にいるチベット人への監視は格段に厳しくなった。一三年ごろからはインドに逃れる人も少なくなり、情報も不足している」と強まる統制の先行きを懸念した。

<チベット動乱> 1959年3月に起きた大規模な反中国民衆暴動。中国は51年、人民解放軍をチベットに進駐させて「解放」。その後もダライ・ラマ14世の地位は維持されたが、民衆の抵抗運動が頻発。59年3月10日、ダライ・ラマが中国に拉致されると疑念を抱いたラサ市民数万人が軍と全面対決する事態に。17日、ダライ・ラマはラサを脱出、インドに亡命した。

 

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