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【国際】

英離脱にらみ税関スト パリの駅混乱、乗車に4時間半

12日、パリ市内のパリ北駅で、税関検査を待つ利用者で大混雑した構内

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 英国の欧州連合(EU)離脱の混迷ぶりが増す中、鉄道でロンドンに向かうフランス・パリ北駅が大混乱に陥っている。合意なき離脱に備えて、仏側税関で態勢強化を求める職員らがストライキをしているためだ。記者がロンドン行き高速列車に乗ろうと駅に向かうと、出国手続き待ちの大行列ができていた。 (パリ支局・竹田佳彦、写真も)

 十二日午後、パリ北駅に着くと駅の電光掲示板には「税関検査の強化に伴い、ユーロスター(高速列車)は大幅に遅延しています」との表示。鉄道会社のサイトでも「フランス側税関職員のストが原因」と説明していた。通常、フランスの出国と英国の入国手続き、手荷物検査は約三十分で終わる。しかし一時間並んでも出国窓口すら見えない。結局、窓口にたどり着いたのは、並び始めてから二時間四十分後だった。

 窓口前で目にしたのは、通常の半分、二ゲートで出国手続きに対応する仏税関職員二人の姿。さらに窓口の手前で人数制限して、処理速度を落としていた。離脱に伴う通関業務の煩雑化で時間がかかり大行列ができる事態を人為的に作り、人員や設備強化を求める狙いだ。離脱の影響の深刻さを、利用者に訴える狙いもあるとみられる。

 英国側の入国審査でも、開いていたのは窓口六カ所のうち二カ所だけ。その次の手荷物検査所も同様で、結果的に英仏の出入国だけで四時間近くかかった。加えて、列車もストに合わせて運行を間引きした影響で乗車まで三十分かかり、最終的には普段の九倍も時間を費やした。

 出国手続きに並んでいたロンドン在住のアダム・ムンテさん(72)は「離脱を決めた英国に向かう人への嫌がらせだ」と憤る。スイス人会社員ステファン・アムスラーさん(54)は「仕事で今日中にロンドンに行く必要がある。予定が立たない」と焦りを見せた。一方、離脱賛成派のロンドン在住の男性(75)は「離脱して主権を取り戻す大切さに比べれば、たいした問題じゃない」と話したが、これは少数派のようだ。

 離脱に備えてEU各国は税関職員や検疫官の増員など準備を進めるが、十分対応ができているとは言い難い。休暇でロンドンに向かう学生クリストフ・ベルファンドさん(22)は「この混乱を見るだけで、離脱は大失敗だと分かる。市民生活に打撃を与える離脱に意味はあるのか」と話した。

 

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