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【国際】

タイ総選挙投票まで1週間 タクシン派票、漂流

幹線道路沿いに乱立する候補者の立て看板。解党命令で出馬資格を失ったタクシン派の候補者の看板(右)も立てられたままだった

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 民政復帰に向け、八年ぶりとなるタイ総選挙は二十四日の投開票まで一週間。軍事政権の事実上の継続を目指す親軍政勢力と、タクシン元首相派など反軍政派の攻防が激しさを増している。二〇一四年のクーデター以来の政権奪還を狙うタクシン派にとって、「牙城」のタイ北部での票の上積みは不可欠だが、軍政派の切り崩しで支持者に戸惑いが広がっていた。 (タイ北部ペチャブン県で、山上隆之、写真も)

 原野や畑が広がる北部ペチャブン県第二区に各党の街宣カーが行き交う。一議席を二十七人が争い、主要幹線沿いに候補者の立て看板が乱立する。父の代から続くサトウキビ農家のスイーさん(50)の待ちに待った選挙風景だが、収穫作業を終えても表情はさえない。

 「この五年間、サトウキビ価格は低迷したままで、肥料代だけが高騰を続けている。収益が上がらない」

 県内の世帯当たりの月平均所得は約二万一千バーツ(約七万三千円)で首都バンコクの半分以下。貧困にあえぐ農村地帯に光を当てたのが、〇一年に登場したタクシン政権だった。スイーさんは低額医療制度や農家の債務返済繰り延べなどの貧困対策に今でも恩義を感じている。「ここの農家はみんなタクシンさんや(妹で前首相の)インラックさんが大好き。なのにタクシン派候補者がいなくなってしまった」と嘆く。

 一一年の前回総選挙でタクシン派から立候補した男性元職(44)が、今回は同派と対立する親軍政の国民国家の力党にくら替えしたのだ。地元テレビ局の記者は「軍政側が地方への予算や人事権をちらつかせ、タクシン派の有力政治家や首長らを次々に寝返りさせている」と指摘した。

 もう一つの異変もタクシン派支持者を揺さぶる。タイ国家維持党の女性新人(45)が、出馬資格を失った。王女の首相候補擁立に伴い同党が解党命令を受けたからだ。

 キャベツ農家のティラウットさん(42)は「やはり軍政は好きになれない」と言いながらも、今回はくら替えした男性元職に投じるつもりだと明かす。「土地のトラブルに巻き込まれたとき、役所に掛け合ってくれた恩人だから。本当はタクシン派にとどまってほしかったが、今回は政党ではなく、人物本位で決める」と、言い切った。

 

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