東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 国際 > 紙面から > 4月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【国際】

「オバマケア廃止を」再び攻勢 トランプ氏、ロシア疑惑乗り切り強気

3月28日、米ミシガン州で有権者を前に話すトランプ米大統領=AP・共同

写真

 【ワシントン=金杉貴雄】トランプ米大統領が、民主党のオバマ前政権が国民皆保険を目指して導入した医療保険制度(オバマケア)の廃止に再び挑もうとしている。一度頓挫していたが、自らの罪が立証されなかったロシア疑惑の捜査結果を受け攻勢に出た。だが、オバマケアを支持する国民はトランプ氏就任当初よりも増加。ロシア疑惑の追及で劣勢に立つ野党・民主党は来年の大統領選をにらみ、論争の再燃を歓迎している。

写真

◆宿願 

 「民主党は社会主義者の国営医療保険を推進している」「自己負担と保険料は高すぎる」。トランプ氏は三月二十八日、中西部ミシガン州の遊説先で熱狂的な支持者に囲まれる中、批判を並べ立て、こう宣言した。「われわれはオバマケアを取り除くつもりだ」

 オバマケアの柱は(1)国民の医療保険加入義務化(違反には罰金)(2)高額保険料の制限など民間保険会社への規制(3)高齢者や低所得者向け公的医療保険の拡大−の三つだ。

 トランプ氏は二〇一六年大統領選で、オバマケア廃止を公約として訴え、一七年一月の就任初日に見直しに向けた大統領令に署名した。オバマ氏の最大の「レガシー(遺産)」を覆すことはトランプ氏の宿願だ。

 だが、廃止法案は一七年七月、与党共和党が上下両院で過半数を握っていたにもかかわらず、党内からマケイン上院議員(一八年八月死去)らが造反し否決。最初の挑戦はあっけなく退けられた。

◆追い風

 トランプ政権は一七年末に、保険の加入義務化の廃止にはこぎ着けたものの、残る二つの柱は存続。さらに昨年十一月の中間選挙で民主党に下院で多数派を奪還され、公約実現は一層遠のくとみられていた。

 そこに最近、追い風が吹き始めた。

 南部テキサス州の連邦地裁が昨年十二月、保険加入義務付けを違憲とする判決を出し、義務化廃止の政策にお墨付きを与えた。

 ロシア疑惑では、一六年大統領選に介入したロシアとトランプ陣営の共謀や、トランプ氏による司法妨害は立証されず、政権最大の危機をひとまず乗り越えた。トランプ氏はここぞとばかりに、オバマケアの「廃止」を再び訴え始めた。

◆世論 

 一方、トランプ氏が反転攻勢に出るのは、政権に逆効果との見方もある。

 ロシア疑惑の捜査報告書の概要が「不発」に終わり、攻めあぐねていた民主党にとって、政策論争はむしろ「助け舟」となる。政権側に廃止に伴う具体的な代替策は見当たらず、正攻法でトランプ氏を攻撃できるからだ。

 世論も民主党に味方しているようだ。オバマケア成立時の一〇年、六十五歳未満の無保険者は全国民の18%にあたる四千六百五十万人もいたが、一七年には二千万人減り10%までになった。

 支持は共和党員にも広がり、米非政府組織(NGO)「カイザーファミリー基金」の世論調査では、皮肉にもトランプ政権発足直後に支持率が不支持率を逆転し、今年三月は支持率50%に対し不支持率は39%だった。

 議会は現在、上下両院で多数派が異なる「ねじれ」状態で、廃止や見直しは簡単に進まないが、米メディアの世論調査では、二〇年の大統領選の争点で「医療保険」は「経済」とともに常にトップを争っている。今後、連邦最高裁に持ち込まれるとみられる裁判の行方にも注目が集まる。

写真
 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報