東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 国際 > 紙面から > 4月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【国際】

トルコへのF35、米が凍結 欧米離れが加速か

最新鋭ステルス戦闘機F35

写真

 【ワシントン=金杉貴雄、カイロ=奥田哲平】米国防総省は一日、トルコへの最新鋭ステルス戦闘機F35の引き渡しを凍結したと発表した。トルコが、米国と軍事的に対立するロシアから最新鋭の防空ミサイルシステムS400を導入する方針であることへの対抗措置で、エルドアン大統領が反発するのは確実。中東で唯一、北大西洋条約機構(NATO)に加盟する地域大国トルコの「欧米離れ」が加速する可能性がある。

 米国防総省のサマーズ報道官代行は、声明で「米国はトルコによるS400調達は受け入れられないと明確にしてきた」と批判。「わが国の重要な技術を守る」として、導入計画を撤回するまではF35引き渡しを凍結すると表明した。

 しかしトルコが導入を再検討する可能性は低い。エルドアン氏は三月下旬、「米国が何を言おうとも、購入を取りやめるつもりはない」と明言している。

 NATOの「仮想敵」ともいえるロシアからの最新鋭兵器購入は、対ロ接近の象徴ともいえるプロジェクト。米議会などは、高度な機密情報であるF35の情報が敵対するロシアに流出する恐れがあるとの強い懸念を示していた。

◆人権問題で対立

 米国とトルコは、二〇一六年七月のクーデター未遂事件の首謀者とみなす在米イスラム指導者ギュレン師の引き渡し問題で関係が悪化。シリア情勢でもトルコが「テロ組織」と敵視するクルド人勢力への米軍支援を巡って対立。〇五年から始めた欧州連合(EU)加盟交渉は人権状況などを理由に停滞している。

 これに加え、トランプ政権がトルコと対立関係にあるイスラエル寄りの姿勢を鮮明にしていることも、影を落としている。イスラエルが占領するシリアのゴラン高原について、トランプ大統領がイスラエルの主権を認める宣言に署名した際、トルコ外務省が「不適切な決断だ」と非難した。

 S400は最大射程四百キロで三十六の標的を同時に追尾可能だ。七月にトルコ納入が始まり、十月までに配備される予定。米側は繰り返し導入を警告し、米地対空ミサイル「パトリオット」売却の代替案も示したが、トルコ側は頑(かたく)なに方針を変えていない。

 一方、F35はレーダーに映りにくい高度なステルス性を誇る最新鋭の「第五世代機」で、米国を中心に英、イタリア、トルコ、オーストラリアなど九カ国が共同開発。四十二機の導入を決定した日本は、さらに百五機を追加購入する方針。中東ではイスラエル空軍も配備している。

◆景気低迷 拍車も

 トルコはロシア南部から黒海海底を通るガスパイプライン「トルコストリーム」を結び、今年末に完成の予定。トルコ初の原発建設もロシア国営企業が担う。トルコは対米関係の悪化をきっかけに通貨下落と物価上昇が続く。海外投資に頼るトルコ経済にとって、S400導入を巡る対立が景気低迷に拍車を掛ける恐れがある。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報