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【国際】

英国民投票 離脱支持最多のボストン 移民流入、治安悪化に不満

東欧系の店が並ぶボストンのウエスト通りは、住民が「夜6時以降は歩いてはならない」と忠告する

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 英国の欧州連合(EU)からの離脱問題を巡り、その発端となった二〇一六年の国民投票で、国内最多の75・6%が離脱に投票したのが東部の街ボストンだ。大量の移民の流入が治安悪化を招いたと、強固な離脱願望を生んだためだが、離脱問題が大きくなるにつれ、移民の貢献に目を向け、共に生きる道の模索も始まっている。 (英国・ボストンで、沢田千秋、写真も)

 「東欧のゲットー」と呼ばれる中心街ウエスト通り。若者の集団は英語以外の言語を話し、生鮮食品店や理容店、通訳事務所などの看板も大半が英語以外だ。

 「ウエスト通りの治安は悪化の一途だ。つい二週間前も裏で人が刺された。移民の抗争だ」。通りのカーペット店の男性店主(49)は顔をしかめ「移民を監視してほしいから離脱に投票したのに、三年たっても何も変わってない」と憤る。

 国民投票の半年前から、新聞の見出しに「殺人首都ボストン」が目立つようになった。人口十万人当たりの殺人、殺人未遂事件数で一位となり「大量の移民流入で、静かな街が英国一の殺人街になった」と書かれた。元工員のバリー・クックさん(76)は「昔の安全なボストンに戻ってほしい。EUとの合意があろうがなかろうが、英国は今すぐ離脱すべきだ」と訴える。

 〇四年、ポーランドやリトアニアなど十カ国がEUに加盟すると、農業が盛んなボストン周辺には野菜や果物、花を収穫する労働力として東欧から移民が来るようになった。英統計局によると、ボストンでは英国外生まれの割合が〇一年の3%から一八年は30%と十倍に。特に東欧系は街の人口約六万八千人のうち一万五千人を占める。

「ボストンは移民なしには立ちゆかないが、制御するために離脱を」と話す地元のアントン・ダニ市議

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 離脱運動をけん引した地元のアントン・ダニ市議(53)は「突如、移民が押しかけ、学校や病院が混雑した。豊かな英国をつくった自負がある高齢層はいら立ち、反移民感情を持った」と話す。移民が街を支えていることは認めながら、治安のために「どんな人間を入国させるか制御するため離脱すべきだ」と主張する。

 ただ、ダニ氏も「移民を拒否し、仲間入りの機会を奪っているのは英国人の方かもしれない。彼らとともに働き、連帯し、よりよい社会をつくるのがこれからの私たちの義務だ」と話す。

 街の外れにあるカトリックの聖メアリー教会では、ポーランド語とリトアニア語のミサが毎週行われている。信者として教会を支えてきたアイルランド移民が高齢化で減少するなか、洗礼を施す子どもの三分の二は東欧系だという。アレックス・アドキンス司祭(74)は「彼ら(東欧系)は英国人がやりたがらないきつい仕事を担ってきた。私たちは差別をしている場合ではない」と訴えた。

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